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「でもさ、トビーよ。なんで山の管理してるお前が街まで降りてきてんだ?」
家までの帰り道、トビーがついてくる。
トビーは少し困った様な顔をする。
「それがさ、師匠にしばらく山じゃなくて街に出て学んでこいって言われたんだよ。」
「へぇ、将来のために色々見ておけみたいな?」
「たぶんね。」
そういうトビーはつまらなそうにしている。
服部は気にはなったがあまり踏み込むのも良くないと思い話題を変える。
「じゃあさ、今はどこで寝泊まりしてんの?」
トビーの表情はさらに暗くなる。
「実はさ、寝れてないんだ…。」
トビーの健康状態など異種族の服部からするとまるでわからない。
しかし、今のトビーをよく見るとなんとなく大丈夫じゃなさそうな気がする。
「なんだってそんなことになってるの?都会はナワバリ意識が激しいとか?」
「いや、違うんだよ。ただ…。」
言いづらそうなトビーに服部は立ち止まってしゃがみ彼の翼に手を置く。
「言いたくなかったら言わなくていい。ただ何か寝れない原因があるなら私ん家に来てもいいんだよ。」
その言葉にトビーは驚きを隠せずクチバシをあんぐり開く。
「泊めてくれるってこと?今日会ったばかりのとんびになんでそんなことができるのさ?」
そう聞かれた服部は胸を張って答える。
「私たち友達になったんでしょ?それにさ、あげた恩っていつかそのあげたやつに帰ってくるんだよ。」
そう言いながら立ち上がりトビーの翼を取ると引っ張るように歩き出す。
トビーは何も言葉が出てこないが心の中がいつのまにか服部で溢れていた。




