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欠けた月が照らす場所を求め、ようやく見つけたひらけた大地に弱々しい光を射す。
「ホウホホ、そうですか。ひぐっさんは無事脱出しましたか。」
「ああ、不憫だなあいつは。」
ホゥ爺とリクガメは月を見上げながら話す。
「面倒ついでですがな、先生が動こうとしてるみたいですぞ。」
それを聞いたリクガメは目を見開きホゥ爺を見る。
「あの子か…。ずっと長い間、食指が動くことはなかったのに…。運命は止まることを知らんな。」
「そうですなぁ。物怪の子も彼に惹かれております。森のものも一目置いている。」




