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寺嶋が飛び立つのを見送ると三男雄はすぐに山へ行こうと張り切る。
「大丈夫だって!俺、みんなに好かれるタイプだしさ。動物の友達はいたことないけど…。唯一避けられたことあんのはお前だけ〜。」
三男雄のジョークに苦笑いしながら返す。
「笑えねぇ、それは悪いと思ってるよ。けどさ、なんで動物と友達になったことないの?」
三男雄はふざけた調子からトーンを落として微笑む。
「動物って、勘が鋭い奴が多くてさ。バレちゃうんだよ、俺の正体。だから仲良くなることもできないのよ。」
「そうなんだ…。」
少し気遣いを見せる豊虫の背中を勢いよく叩く。
「だから、もしそうなったらよろしく頼むぜ!少年!俺の印象、良くな!」
「それはどうだろう…。なかなか難しいな…。」
そう言ってわざとらしく顎に手を当てて悩む豊虫を三男雄が小突く。




