表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
博愛国家  作者: りとかた
第5章 母の想い
19/56

2

「…ちゅう!豊虫!大丈夫!?どうしたのよ!!」


そう言って体を揺らされ目を開く。

しかしまだ夢現で暴れ回る。


「やめて!やめてくれ!僕は…僕はまだ生きたい!」


体を押さえつけていた相手を突き飛ばす。

そこで意識がはっきりしてハッとする。


突き飛ばした相手は母だった。

母は腰をさすりながら立ち上がる。


「ご、ごめん。母さん…。」


そう言って謝る豊虫に両手をグーにして頭をぐりぐりと挟む。


「痛いじゃないの〜。」


そう言って今度は豊虫の体をくすぐる。


「やめて、くすぐったいって!」


そう言って戯れているといつの間にか豊虫の鼓動は落ち着いていた。

それを察した母はベッドに腰掛けて月明かりに照らされながら豊虫を見る。


「怖い夢を見たのね?何か困ったことがあるならちゃんと相談しなさいよ?」


そういう母の優しい顔を見ると安心する。


「ごめん、夜更けに騒いで。でも大丈夫だよ。もう寝る前にホラー映画見たりしないよ。」


そう言って笑って誤魔化す豊虫を見て母は一瞬心配そうな顔をするがスクッと立ち上がる。


「よろしい!ぜひそうしてください!怖いの苦手なんだから寝る前じゃなくても見ないように!」


そう言って人差し指を立てて小さな子供を諭すように説教をする。


「わかったよ、母さん。ありがとう…。」


母は優しく微笑むと部屋を後にする。


そう今見たのは夢だ。

現実では三男雄は全部嘘だと言っていた。


しかしそれが嘘だということは豊虫にはわかっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ