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今日は放課後特に何も用がない。
そんなことを考えながら仲良くしてる動物たちを頭に浮かべる。
寺嶋さんは集会に出るとかで今日は忙しい。
トビーはそれについていくらしいし。
ひぐっさんは故郷の仲間が遊びにくるとかで邪魔をするのは忍びない。
他にも山には知り合いはいるが個別で遊ぶほどの仲ではない。
そう思い机に突っ伏していると、突然机を揺らされる。
「ほーうーちゅ!帰ろ帰ろ!かーえーろーぜー!」
顔を上げると爽やかな顔のくせして絡み方がうざいと有名な三男雄が目をキラキラさせながら机を揺らす。
「みのっち、揺らさないで。起きてるから。」
彼は天候が多いらしいが、誰とでも仲良くできてどんな人にも顔が効く三男雄は人間界の寺嶋のような存在だった。
「頼むよ〜。一緒に帰ろうって。」
「いやとは言ってないでしょ?帰るよ。」
「本当か?よっし!帰る準備するから待ってろよ!」
帰ろうと誘っておきながら準備していなかったのかと呆れながら豊虫は重い鞄を持ち上げて机の上にどしんと置く。
すぐさま三男雄が飛んでくると先ほどとほとんど変わらず手ぶらで豊虫に抱きつく。
「待ったか〜い。マイハニー、ホウチュ!」
「やめてやめて、気持ち悪いよ。」
クラスに残っている女の子たちからの視線が痛い。
三男雄は変なやつだが人を惹きつける。
もちろん女の子からの人気も高い。
「そんなこと言うなよ〜。ほら、ジュテーム、ジュテーーーム!」
そう言ってキスしようとする三男雄を押し退けて立ち上がる。
「ほら、ふざけてると置いていくよ。じゃあ、いくからね!」
「待ってくれよ〜、マイスイートハニー。」
軽口を叩く三男雄と彼と下校しようと目論んでいた少女たちの視線を背に豊虫は教室を出ていく。




