表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
博愛国家  作者: りとかた
第3章 森のクマさん
14/56

5

「まあ、その後何やかんやあってそのクマ撃ちを撃退してだな。だけど、その悪名が広がりその山に居られなくなった結果、ここまで流れ着いたってわけだ。」


「…すごい…すごいですよ…。漢です…、ひぐっさん…。」


「ピュルルル、なんて…!なんて…!悲しい物語なんだ!ひぐっさんの名前の由来からそんな話になるなんて…。」


豊虫とトビーは2人で正座して涙を流しながらひぐっさんの話を聞いている。


それをつまらなそうに寺嶋がコロコロ転がりながら見ている。


「おいおい、お前らよ〜。そんな眉唾もんの話聞いて泣いてんじゃねえよ。大体、クマ撃ちはどうしたってんだ?ひぐっさんのテキトーな作り話だろう?」


「ふふふ、寺嶋さん。あんた、信じる心を失ったらどんどん廃れていくよ。」


「はん!余計なお世話だ!」


2匹の話などそっちのけで豊虫とトビーは先ほどの話の感想を言い合っている。

豊虫はふと気になったことを聞いてみる。


「その後、少女とは?もう会えなかったんですか?」


ひぐっさんは仰向けにどしんと倒れ空を見上げてしばらく黙っていた。

大きく息を吐いてようやく答えてくれる。


「会えてないなぁ。彼女らには悪いクマで通ってるだろうから合わす顔もないわな。」


そう言って笑うひぐっさんはどこか寂しそうだった。


春の野山は心地よい風を運び他の季節では嗅ぐことのできない神秘的な匂いを運んでくる。

その匂いは遠く離れた山の麓にも届いている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ