表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
博愛国家  作者: りとかた
第3章 森のクマさん
11/56

2

回り疲れた2匹はフラフラと森の中の開けた場所に寝そべる。

仰向けに転がったクマの上に勢いよく少女が飛び込む。


「うっ…。」


「あら、ごめんなさい。勢いよく飛び込みすぎたかしら?まさか…私が重いなんて言うんじゃないでしょうね?」


肩肘を突きながら顔を覗き込み足をパタパタさせた少女にクマは困った顔をする。


「そんな、まさか。君は羽のように軽いよ。よければこのまま麓まで運んであげてもいい。」


それを聞いた少女は顔をパッと明るくさせる。


「ほんと!!ありがとう!あなたはやっぱりいいクマさんだわ!」


勢いよく手を首に巻き付ける少女の背を片手で支えながらこの不思議な出会いにクマはドキドキしていた。


「でも、クマさんって呼びにくいわ。私のワンちゃんと同じなんだもの。」


「お嬢さん、あんたはなかなか勝手なお人だね。とは言っても俺も名前をつけてくれる人なんていなかったから…つけてもらえるならありがたい。」


少女はうーんうーんとクマの上であぐらと腕を組んで考え込んでいる。


「あなた、クマさん以外の呼ばれ方はないの?」


それを考えてくれるんじゃないのかと思いながらも昔人間に呼ばれたことのある名前を思い出す。


「そうだなぁ。小さい頃にヒグマの子供だと言われたことはあったかな。」


それを聞いた少女はパッと顔を明るくさせてクマの顎に指を突き立てる。


「それよ!あなたはひぐっちゃん!んー、でもあなた可愛くないからひぐっさん…の方がいいかな?」


うふふと笑う少女を見ながらクマは名付けれた名前を心の中で反芻する。


ひぐっさん…ひぐっさんか。悪くない。

むしろ響きが気に入った。


「あら?嬉しいのかしら?ひぐっさん。口元がニヤけてるわ。」


「そうだね。お嬢さんのつけてくれた名前気に入ったよ。お礼にきちんとお家に帰してあげるよ。」


少女はピョンとひぐっさんから飛び降りると周囲を見渡す。


「でも、私どこからきたのかもうわからないのよね。蝶がまた連れていってくれたらいいのだけど。」


「大丈夫。俺に任せなさい。君の痕跡を辿るなんて朝飯前さ。」


そう言って鼻を指差しスンスンさせる。


「うふふ。じゃあ、よろしく頼もうかしら。」


そういうと四つん這いになったひぐっさんにピョンと乗り込む。

ひぐっさんは昔祖父が話してくれた金太郎という話を思い出して小さく笑った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ