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第1話:在宅勤務は戦場です

午前10時、在宅勤務中。斉藤はノートPCのカメラに映る己の顔を見つめた。


(真面目な顔してるな……よし、これでバレない)


マイクはミュート。Teamsの会議はつけっぱなし。画面の裏ではもう一つの「戦場」が広がっている。

オンラインゲーム『Imperium Saga』、現在進行中のギルド戦だ。


「副官!敵将Strahlが西の砦に現れました!」


ギルメンの田所が慌てた声でチャットを打ち込む。


「まさかまたこっちの裏を読まれてる?おかしいだろ!」


(おかしくねぇよ……あの人、毎回読みがド正解なんだよ……)


敵将Strahl——冷静沈着、戦術の鬼、そして何より“なぜか俺の行動をピンポイントで読んでくる謎の強者”。

斉藤はずっと思っていた。あいつ、絶対どこかで俺の画面見てるだろ!


だが現実は現実。会議の時間だ。


「……で、斉藤さん、この数値の裏、どう読んでます?」


(ヤバい。数値……どの数値……?)


画面を切り替えると、直属の上司・三枝課長の冷静な顔が映っていた。見下ろすような眼差しに斉藤は思わず背筋を正す。


「ええと、その……上昇傾向にあると見ています。裏を取ったような動きが──」


「なるほど、裏を取ったつもりで裏を取られるパターン。私、そういうの好きです」


(一字一句、さっきStrahlにされた戦術と同じなんだが!?)


斉藤は画面越しに固まる。まさか……いや、そんなバカな。


でもあの落ち着き、あの言い回し、そしてさっきの目つき。


(もしかして、課長がStrahl……?)


会議終了後、田所からチャットが飛んできた。


「副官〜!Strahlマジで人間じゃないっす。作戦が読まれすぎてて草」

「絶対スパイいますよ、ウチのギルドに」


(スパイどころか、上司が敵将説まである……)


その日の午後、三枝から届いた社内チャットにはこう書かれていた。


「夜、お時間あります? ちょっと面白い“戦略シミュレーション”イベントがあって」


斉藤は背筋がゾワリとした。


もしこの人がStrahlなら、俺は一体どこで戦ってるんだ……!?

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