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凧揚げ

凧揚げ


ーー子供ってのは本当に元気でめんどくさい。


 冷たい風を塞ぐように服を着込み、いつ買ったか忘れてしまったコートを羽織りながら公園のベンチに座っている男の目線の先には、凧糸を引っ張りながら走り回る少年の姿があった。

 

 不運だ、、と嘆きながらもそこにいる理由は、年末年始で実家に帰り惰眠を貪っているところを姉に捕まり甥の相手をさせられているのであった。

 子供というのはすごいもので糸の先にビニール製の絵が描かれているだけの物を2時間も見上げて走り回っている。


 少しはこっちの身にもなって欲しい物だ。


 携帯でネットゴシップを横目で見ながら甥を見ていると、ご飯ができたから帰ってこいと姉からの電話がかかってきた。

 男は元気に遊んでいる甥に呼びかけた。


 「おーい、帰るぞ〜ご飯だってよ」


子供

 「えー、まだ凧揚げやりたい!やりたい!」


 「お母さんがご飯って呼んでるんだよ、さっさっと来ないとおじさんが全部食っちまうぞ」


子供

 「やだ!けち!お腹すいた!!」


 そう言いながら甥はこちらへ走ってきた。


子供

 「ねぇねぇ、どうやったらうまくなるの?凧揚げ!」


 目を輝かせながら聞いてくる甥に対して、少しため息をつきながらもニヤッと気持ち悪く笑い口を開いた。


 「風が強いと高く上がるんじゃないか?あとは糸をながーーくしたらいいだろ」


 「そっか!!わかった!!!」


 「危ないからお母さんとやるんだぞー」


 走り出す甥を追いかけながら男は伝えた。


 家に帰ると流石は年末で豪華な食事が並んでいた。

 甥が油物を頬張っている横で大人組はお酒を飲みながら紅白を流して色々な事を話した。

 時計の針が上を向く頃にはすっかり寝ていた甥を布団へ運び、大人組は朝まで楽しく飲み明かした。

 

 喉の渇きで目が覚めた時には昼の12時を回っており、昨日の酒が抜けきっていない気持ち悪さで機嫌が悪くガタガタと風が扉を叩く音に無性に腹を立てながら、水道水を一気に喉に流し込んだ。

 ソファーで二度寝しようと居間へ向かって歩いていると姉が血相を変えた表情で家を走り回っており、こっちを見るなり早口で聞いてきた


 「ねぇ!駿がいないの!!!知らない?あーもう、ねぇ」


 「し、しらないな」


 パニックになっている事だけは明白であり、一緒に探そうと家の中を歩き回り玄関へ向かった時に気づいてしまった。

 そこには昨日おいたはずの凧が無く鍵が空いており携帯からは暴風警報の通知が鳴った。

 子供の頃はなんで、あんなに夢中になれたのでしょう

凧揚げだけで何時間も過ごしたもんですね。

人は夢中なりすぎると足元が見えなくなるので地固めが必要なのかもしれません。

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