だるまさんがころんだ
男は上京してからわざわざ山奥の実家へ帰省する事もななかった。
理由は簡単で、同じ村で育った友人と一緒に上京し、家族は定期的に会いにきてくれていたからだ。
しかし、たまには帰りなさいとの親からメールが届いた為、重い腰を上げて友人と帰省をする事にした。
男
「5年ぶりか〜流石に空気が美味しいな」
友人
「コンクリートが視界から消える場所がまだ日本にあるとはな」
自分たちが育った村の田舎っぷりをこれでもかと談笑しながら2人は帰ってきた。
その日はお互いの家や近所に挨拶をして、祖母の家に泊まる事にした。
祖母の家は作りは古く築年数もかなりのものだが掃除も行き渡っており丁寧に住んでいる為、すっかり都会の部屋に慣れてしまった2人でも旅館に来た感覚なる程度だった。
男
「流石に風情がある部屋だなぁ」
友人
「部屋に泊まるからって空のタンスまで用意してくれるのは、お前のおばあちゃん優しすぎるだろ」
男
「ふはは、感謝しろよな〜まったく」
友人
「うわっ、人形とか達磨とかあんじゃん。こーゆーの怖くて苦手なんだよなぁ、、別の部屋に片付けてもいいかな〜?」
男
「はー?人形はともかく達磨とかかっこよくね?エアーサンドバックみたいで倒れないし、願い事叶う系?よく分かんないけど守り神的な感じだろ」
友人
「エアーサンドバックってなに?」
男
「ん?殴っても倒れないやつだよ、ボクシングとかで使うのかな?」
友人
「ふーん、まぁ、怖いものは怖いんだよな」
男
「んじゃ、こうしとく」
そう話した後に男は達磨を後ろへ回転させて、人形を抱えて別の部屋に持って行った。
そんな話をしていると友人の母が2人を呼びにきた。
久々に帰ってきた2人と話がしたいと、村の何人かが豪勢なご飯とお酒を用意してくれたらしく、夜遅くまで大きい木のテーブルを囲みどんちゃん騒ぎで飲んで楽しんだ。
話に来てくれたみんなもちらほらと帰り、祖母や親も時計の針が真上を向いた辺りで眠たいと言い残し解散することになった。
2人で部屋に戻ると布団が2枚綺麗に並んで敷いてあった。
電気を豆電球にして薄暗い中、布団に入り寝ようとした時に友人越しのタンスの上で反対側にした達磨と目が合いギョッとした。
きっと、布団を敷いた時に直してくれたのだろうと我に帰り酒も回っていた為、そのまま瞼を閉じた。
「うわぁああ」
次の日は友人の怯えた声で起きた。
達磨がタンスから落ちてクッションのような物の上で横に転んだ形となり友人と目が合っているのが原因だと分かり、男は笑いながら
男
「ははは、朝からびっくりさせるなよ、寝てる間にタンスでも蹴って落ちただけだろ」
友人
「いやいや、蹴ったりしてないんだよ、お前が昨日怖がらせるようなこと言うからだろ?」
昨日の会話を思い出してみても怖がらせるような事を言った覚えはないが、めんどうなので適当に謝っておいた。
ーーープルル プルル プルル ーーー
友人の携帯が鳴り、電話で話しながら嫌そうな顔をしているのが見えた。
当初予定では2泊3日の帰省だったが、急遽明日の朝から仕事が入り帰らなければいけなぬなったそうだ。
怪訝な顔をしている友人の車を見送り、男は祖母の家に戻った。
その日は親と今の事やこれからの事を笑いながら話して普通に寝た。
帰省3日目は鳥や虫の声で起こされた。
昨日は友人の声が大きくて気にならなかったが、当たり前みたく朝から自然の声が聞こえる事に感動すら覚える。
ただ、都会の便利さに慣れてしまったせいで田舎は年に3日でいいなと思ってしまい、「ふふ」と鼻で笑った。
家族からの見送りを受けて車に乗り込んだ。
しばらく崖際にある帰路をノロノロと走らせていると、土砂崩れで道が塞がれてきた。
大雨や地震が起きていないのに不思議だなと思いながら車から降りると、友人の車が下敷きになっているのが見えた。
よく小さい頃に遊びましたね。
でも、【だるまさんが転んだ】ってなんなんでしょうか。
個人的には作中通りで人間に害を与えない守り神てきなものだと思ってます。
今回も達磨に見られた時に動かない選択をしていたら、、あるいは、、




