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久方振りに公爵関係を書いてみた
志津宮星子はあまり良い人生を送ってない。
どういう人生かというと病弱だった。
おまけに強迫観念と強迫神経症の激しい精神科病棟を入退院する女の子だった。
だから学校にもなかなか行けない人生だった。
そんな私は人生が嫌になって自殺した。
筈だった。
☆
「...これは...」
私、志津宮星子は首を吊って自殺した筈だったのだが。
乙女ゲーム(サマリア・クラシック)のゲーム内の王都キースに貴族令嬢のサマリア・ノーラとして転生していた。
というかなんでそれに気が付いたかといえば。
私はその乙女ゲームが好きだったからであるが...。
死ねたと思ったらこんな事に。
「お嬢様」
金髪と碧眼などを鏡で見ているとそう声がした。
私は「はい」と返事をする。
すると召使であろうか中年辺りのおばさまが入室して来た。
その姿を見るに年は50代ぐらいであろう。
「お嬢様。今日は皇太子殿下のいらっしゃるお城にて晩さん会がございます」
「そうなの?」
「さようでございます。...お伝えが上手くいっておらず大変申し訳ございません」
「...」
「お嬢様?」
私は不安な感じがする。
というかあまり行きたくないし...好きなゲームとしてもキャラに関わりたくない。
そう思って私は「すいません。今日は晩さん会は体調が悪いのでお休みできますか」と声をかける。
召使はかなりびっくりしていた。
だが「お嬢様がおっしゃられるのであれば仕方がございませんが...」と数秒間が空いてから返事した。
「ただお父上様が...それで宜しく返事をするか分かりかねます」
「そうですね。...お父様にはご説明します」
「...」
「私が休みたいと言っているのですから」
実はサマリア・ノーラは病弱だ。
病弱っていうのは精神病を患っていて病弱である。
つまり私と設定が似ている。
まあノーラは...私みたいな根性なしじゃないけど。
そう考えながら私は「大変恐れ入ります」と返事をする。
「...それではお嬢様。お召替えを」
「いえ。それも私がやります」
「...そうですか。...では何かございましたらお呼び下さいませ」
それから召使は去って行く。
私は心臓をバクバクさせながら溜息を吐く。
困ったな...これからどう生きて行こう。
そう思いながら私は窓から外を見る。
王都が見える。
間違いなく転生していた。
「...」
私は手を見る。
そして「...」と考え込んだ。
実は私は実の父親にレイプされた。
それもあって...心に傷が付いてしまった。
病気になった。
「忌々しいかな」
呟きながら私はドアから外に出て見る。
すると別の召使さんと鉢合わせした。
「お嬢様。おはようございます」と召使さんは言う。
私は「おはようございます」と返事をした。
「お嬢様。今日は快晴でございます」
「そうね。外を見て確認したわ」
「うふふ。よき洗濯日和でございます」
「嬉しそうね」
「お嬢様も何となく嬉しそうです」
「私は普通よ」
それから私は「そうだ。お水を貰えるかしら」と召使さんに言う。
すると召使さんは「かしこまりました。直ちにお届けいたします」と頭を下げてバタバタと食堂に去って行った。
私はそれを見ながら「...着替えようかな」と部屋に戻る。
☆
「ノーラ」
「お父様」
「元気かな」
「はい」
サマリア・ドゴール公爵。
私の....父親にあたる髭がダンディな男性。
モノクルを着けている。
「...今日は無理をさせたね」
「いえ。私が断りを入れたのですから」
「お前が無理をしないのが一番だからな」
「そうですね」
それから私は公爵を見る。
すると公爵は「すまないが仕事があって城下町に出る。何かあったら使いの者に言ってくれたまえ」と言いながら襟を正した。
私はその姿を見つつ「行ってらっしゃいませ」と頭を下げる。
玄関フロアには多数の使用人が居る。
馬車もあった。
「では行って来る」
「旦那様。行ってらっしゃいませ」
公爵は私を見てから笑みを浮かべる。
そう。
私はこのゲームが好きな理由。
それはキャラクターが婚約破棄とかされない。
不幸にならないから好いている部分もあるのだ。




