波の中を歩む
海辺の小道を歩いていると、足もとに波が寄せては返す。
ある日は青く澄んだ波がきらめき、心まで軽やかに感じる。
けれど別の日には、灰色の波が押し寄せて、砂の上に重たい足跡を残していった。
主人公の心も、その波のようだった。
調子が良い日には、やりたいことが次々に浮かび、空が広く見える。
だが、気分が沈む日には、何もかも遠く感じられてしまう。
「どうして、こんなに揺れるんだろう」と嘆いたとき、
ふと海の声が聞こえた気がした。
「波があるから、海は生きているんだよ。
静まり返ったままの水は、やがて澱んでしまう。
揺れることは、前へと進んでいる証なんだ。」
主人公は立ち止まり、足もとに触れる冷たい波をじっと見つめた。
確かに、寄せる波も、引く波も、どちらも同じ海の一部だった。
その日から、調子の良い日には「ありがとう」と心を広げ、
沈む日には「休むときなんだ」と波に身を任せるように過ごした。
やがて気づいた。
どんな日も、自分を運んでくれる大きな海の流れの中にいることに。
波があるのは、あなたが生きて前に進んでいる証。
揺れる日々も、そのまま回復の道を形づくっています。