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　そうそう、コーユーノの名前はコーユーノ・ル・ナンチャッテ。

　ナンチャッテ伯爵家の長女です。

　この国では家名の前にラ、リ、ルが付くのは貴族家の当主、嫡男、嫡女のみです。その事から分かるようにコーユーノは跡取りのはずなのですが。この家はおかしいのでしょうか？

　いえそうでは有りません。彼女が自殺するのを待っているのです。

　彼女の父親はオンネン・デシ・ナンチャッテです。

　彼はコーユーノの亡くなった母親、シンテレー・ラ・ナンチャッテに婿入りした仮当主(中継ぎにすら認定されなかった)でしかなく、後妻に入れたクマッタロー・ナンチャッテとの間に出来たターツ・ナンチャッテを跡継ぎにしたかったようだ。

　……出来ないはずですけど、何を考えていたのでしょう。

　ナンチャッテ家の血が少しも入っていないのに。

　コーユーノが無くなれば、従兄弟（母親の妹の息子）が継ぐでしょうに。