第10話 新たな出会い?
・・・
学校に行きたくありません・・・
憂鬱です・・・
なぜ?
・・・いや、わかるでしょう。
だって・・・
まずは・・・
「蒼ちゃんはアリスが守るからね!」
と言って、登校中なのにいつも以上にべったりとくっ付いてくるアリス・・・
そして、学校に着いて教室に入ると・・・
「蒼太くん、おはよう!」
と、俺を見つけて挨拶をしてきたと思ったら、抱き着いて来るさやか・・・
「ちょっと!おかあ・・・じゃなくて、さや!おにい・・・蒼ちゃんは渡さないよ!」
「ええ~?いいじゃない。とも・・・蒼太くんの事を知ったからには、私の愛情を注ぐ義務があるのよ!それに、ひな・・・アリスの事もわかれば怖くないし」
・・・いや、だから!
さやかの言っている事は、母親の愛情としてでしょ!?
もう世を跨いでいるんだから、前世の事を持ち出さないで!!
しかも2人共、前世での呼び方が出そうになってやがるし・・・
つーかもう、ほぼほぼアウトだよな・・・
まあ、俺達にしかわからない事だけどさ。
そして、アリスとさやかが俺を取り合って(?)いる中。
「うう・・・か、かあ・・・さやか・・・」
と、シクシク泣いている亮。
・・・・・
もう、何が何だかわからん光景だよな。
そんな俺達のやり取りを見ていたクラスメイトからは・・・
「あの野郎・・・クラスの2大美女を侍らせやがって!」
「くそっ!見せつけてんのか!?見せつけてんのか!?」
「リア充死ね!リア充爆ぜろ!」
「イチャイチャハーレム見せつけやがって・・・穂高蒼太・・・餅を喉に詰まらせて死ねばいいのに」
「とりあえず、穂高蒼太のパンツの中に蜂でも入れておくか?」
実情を知らない男子からは、そんな言葉が聞こえてくる。
・・・・
いや、ちゃうねん!!
俺のせいじゃないねん!!
めっちゃ悪目立ちしてんじゃん!!
確かに2人は非常に可愛いのは間違いないかもしれない・・・
でも、中身は前世の身内なんだよ!!
俺の中では家族のじゃれ合いみたいなもんなんだよ!!
とはいえ、そんな事は他のクラスメイトには分かるはずもなく・・・
言えるはずもなく・・・
・・・
俺まだ、あまり友達いないのに・・・
もう新しい友達が出来ない予感・・・
って、後の2つが具体的過ぎね!?
なんで餅を喉に詰まらせて死なないといけないんだよ!!
パンツに蜂って、あれか!?
俺のムスコを再起不能にしようってのか!?
やめてくれ!!
俺のムスコはまだ成人してないんだよ!!
せめて、せめて成人を迎えてから・・・
いや!
成人を迎えたらいいってもんじゃねえだろが俺!!
しかも今の所、ムスコが成人を迎える可能性があるとしたら、この2人・・・
・・・
嫌だ!!
気分的になんか嫌だ!!
外見的には、2人とも俺のドストライクだよ!
でも、中身が妹か母さんだなんて・・・
その2人のどちらかと大人になるなんて、絶対に嫌だ!!
前世では俺の知らぬ所で、ムスコが大人になっていたらしいけど・・・
・・・・・
色んな意味で空しい・・・
そんな事を考えながら、気が付けば現在昼休み。
俺はアリスとさやか、亮以外の親しい人が欲しい!!
という事でいつもなら4人で食っているが、彼女らと少し距離を取ろうと1人そそくさと逃げて図書室に。
でも、だからといって他に知り合いなどいないんだけどさ・・・
悲しい・・・
いや、そんな考えではダメだ!
知り合いは作ればいいのだ!
じゃあ、なんで俺は図書室に来たのだろう・・・
図書室は誰かと出会う場所でも話す場所でもないだろうが・・・
まあ、今日はとりあえず落ち着きたかったという事で。
知り合いを増やすのは、また明日からという事で。
・・・
今やるべき事を明日に先延ばしって・・・
それ、一番ダメな考え方じゃん・・・
絶対にやらないやつじゃん・・・
ま、いいや。
そんな事を考えても仕方がない。
なるようになるさ。
とりあえず、せっかく図書室に来たのだから、弁当でも食いながら何か本でも読むとするか。
そう考えて、本を探しに行くと・・・
「ん~しょっ!!」
という声が聞こえてきた。
なんだ?と思って、その声がした方へ向かうと。
「ん~!ん~!・・・届かない・・・」
なんか、ピョンピョンと飛び跳ねてみたり背伸びをしてみたりと、一生懸命頑張っている女子がいた。
何をやっているんだ?と思ったのは一瞬の事。
何の事は無い。
ただ最上段にある本を取りたいと言うだけのようだ。
でも彼女の背が低くて、何をやっても届かなくて最終的に項垂れているのである。
いや、台座を持ってくればいいんじゃね?
と思うものの、一生懸命に背伸びしたりピョンピョンと飛び跳ねている姿、そして届かなくて落ち込む姿が、なんか可愛いと思って見てしまう。
てか、さすがにそろそろ助けてあげないと、うーうー唸りながら少し涙目になっている。
そう思った俺は、彼女の近くに行くと・・・
「ほらっ、どれが取りたいんだ?」
と、声をかける。
「えっ?きゃっ!!」
すると彼女は驚いたように俺の方を向いたと思ったら、次の瞬間には軽い悲鳴を上げた。
・・・全く失礼な娘だ。
いきなり悲鳴をあげるなんて。
「ちょ、ちょっと!どこ触ってるんですか!?そして何してるんですか!?」
「へっ?」
何って・・・
この娘が本を取りやすいように、俺が彼女の腰を両手で掴んで持ち上げているだけなんだけど?
何かおかしな所はございましたか?
「とりあえず、欲しい本を取ったらどう?」
「ひゃっ!手を動かさないでください!くすぐったいです!」
「そんな事言ってもなぁ・・・」
「う~・・・わ、わかりました!取りました!取りましたから下ろしてください!」
ようやく本を取ったらしいので、俺は素直に彼女を下ろしてあげた。
すると彼女は俺に向き直って・・・
「う~、た、助けてくれたのは感謝します。ですが普通ならこういう場合は、どの本?と聞いて貴方が取ってくれるのがお約束でしょう!?」
「へっ?そうなの?」
そんなお約束があるの?
それっていつ決まったの?
「というか、女の子の腰は気軽に触っていいものではないのです!」
・・・
そうなんですか?
それは初耳です・・・
むしろアリスなんて自分で届くのに、俺に持ち上げろとか言いそうだけど・・・
・・・普通はダメですか?
えっ?セクハラで訴える!?
・・・ごめんなさい。
許してください・・・
はい、そうです・・・
アリスに感化されてました・・・
普通の女の子を気安く触ってはいけませんよね・・・
そうですよね・・・
俺、きもすぎる・・・
我に返った俺に出来る事は。
「ごめんなさい・・・今すぐ、土に還ります」
そう、土に還る・・・
それしかない・・・
もちろん彼女に対するお詫びもそうだし、色んな意味で来世に期待するために!
「えっ!?い、いえ・・・そこまでしなくても・・・」
「いいえ、君の柔らかくて気持ちのいい腰を触っておいて、生きていていいはずがない!」
「ちょっ!ちょっと、余計な事は言わなくていいですからっ!」
「ほらっ、怒ってる!死んでお詫びをします!」
俺はそう言って、土に還るためにこの場を後にしようとする。
「ま、待ってください!お、怒ってませんから!」
彼女はそう言いながら、俺の袖を引っ張って止めた。
「えっ?でも・・・」
「大丈夫ですから!そんな事よりも、この程度の事で貴方が土に還った方が寝覚めが悪いです」
どうやら、俺が土に還るのを本気で止めているようだ。
まあ確かに、これで俺が土に還ってしまったら、彼女も罪悪感に苛まされるかもしれないもんな。
「というか、確かに腰を触られて恥ずかしかったですけど、だからといってなぜいきなり土に還ろうとしたんですか!?」
「いや、だって・・・女の子に失礼な事をしたお詫びを入れる為と・・・何よりも・・・」
今世では、俺の友達や彼女候補が前世の家族しかいないから、絶望して・・・
だから来世にかけたいんだ!!
・・・なんてこと言えるか!!
「何よりも?」
「あ、い、いや・・・それはいいとして、本当に悪かったよ」
「い、いえ、それはもういいです・・・それよりも、私の方こそ助かりました。ありがとうございます」
「いや、大した事はしてないし・・・」
『・・・』
俺達が互いに謝罪と礼を言い合うと、そこで一瞬押し黙ってしまう。
その沈黙に耐え切れなくなった俺は・・・
「じゃ、じゃあ、俺は行くから」
と言って、この場を去ろうとしたのだが・・・
「あ、ちょっと待ってください」
と、止められてしまった。
「ん?どうかした?」
「あっ、えっと・・・」
俺を呼び止めたと思うと、彼女は少しだけ言い淀む様子を見せながら、俺の持っている弁当を指差した。
「お弁当を持っている所を見ると、お昼食べに来たんですよね?私も本を読みながら食べようと思ってたんですが・・・よかったら、一緒に食べませんか?」
と、誘ってくれたのであった。
お読みいただきありがとうございます。
前回投稿から、だいぶ時間が経ってしまい申し訳ございません。
活動報告にも書きましたが、暑さにやられてから脳死し続けていたのと、色々と重なって中々書くことが出来ずにいました。
その間に、過去作をチラチラと読み返したりしていると少し書きたくなったので、書けるようになってからはそれも手掛けたりしてしまった為に、こちらが中々進んでいませんでした。
申し訳ございません・・・
一応、完全自己満作品とはいえ、そちらも投稿はしております。
タイトル上部にシリーズ化機能にてリンクを張ってあります。
読んでない作品があれば、気が向いたら読んでいただけたら嬉しいです。
これからも遅くなったりする事はあるかもしれませんが、きちんと書いていくつもりですのでよろしくお願いいたします。