誕生!! 魔法少女ジューシーミカン 6
「ねえ雪丸まだー? わたしもう飽きてきちゃったんだけどー」
さっきからずっと同じところを掘っている犬にわたしは思わず帰りたいオーラを出す。
「言っただろ、あれは大事なカードだって。見つからないとマジでヤバいんだから」
雪丸が答える。
「そこのお嬢さん達、探し物はこれかしら?」
向こうにいるドレスのお姉さんはとりあえず無視。
「あ! 雪丸見て見て! こんな所にアリの行列がいるよー」
「おい、そこのガキ! いい加減、こっちの話を聞け!」
とうとう本性を露にするお姉さん。その時――。
「お! あったあった。これだこれ! オレが探していたカードだ!」
「え? あったの?」
「ああ! 間違いねえこれだ!」
なんということだ。
わたしはてっきり「くそう、先をこされた!」
って言わなきゃいけないのかと、覚悟を決めていたというのに……。
わたしはお姉さんをチラ見する。なんだか気まずそうだ。
わたしは雪丸に耳打ちする。
「ねえ、だったらあのお姉さんが持ってるカードは何?」
「あれはオレ(犬の姿)の生写真。つまりブラフだ。とりあえず仕掛けておいて正解だったぜ」
「じゃあブラマイドだね」
「くだらねえよ!」
すると、お姉さんと目が合った。
「……」
「……」
「それじゃあ、わたし達……帰るね」
「ふざけんな! そのカードをこちらに渡しな! 塵旋風!!」
お姉さんが呪文を唱えると、巨大な砂埃の渦がわたしと雪丸を飲み込んだ。