二枚目のカード 7
美咲先生は下品に笑う。
「きゃははは! 日向さん、やはり貴方がカードの所持者だったみたいね!」
「どうしてそれを……? あ、この格好か……」
わたし今、魔法少女になっているんだ。
改めて思い出したよ。
「さあ、カードを渡して貰おうか!」
「きゃあ! やめてー! 乱暴しないでー!」
「プリンセスを離せ!」
「来るな! これ以上近づいたら彼女がどうなっても知らないぞ!」
「そうだよ! シンク! 臭いんだから! これ以上わたしに近寄らないで! 臭いんだから!」
「言ってる場合か! それに二度も言わなくたって分かる! くそう、そんなに臭いのか俺は!?」
あ、なんかちょっと締め付けが緩くなった。
今だ!
「えい!」
ポッケから出したカードをシンクの足元へ放り投げる。
シンクが拾うと。
怒った美咲先生が切っ先をわたしのほっぺに向ける。
「お前! ふざけた真似を!」
でもわたしは悪い大人に屈したりはしないんだから。
「ほら、カードはあっちだよ!」
「ふん、その手には乗らないよ。現にお前はまだ魔法少女のままじゃないか。放り投げたカードは偽物、そして本物はまだお前が持っている。そうだろう?」
すぐに変身を解除。
「これでどう? あっちが本物だよ!」
「いや、まだ信用に値しない。単にお前が変身を解除しただけ! あいつが変身しないって事はあっちが偽物! さあ、恐い思いをしたくなかったら早くカードを出しな!」
「お願いシンク! 変身して!」
「ええ!? 変身って――。ええ!?」
「そのカードが本物だって事を美咲先生に分からせなくっちゃ!」
「何!? まさか本当にあっちが本物!? チッ! だったら変身してみろ!」
「んな!? 俺に変身しろって言うのか!? 魔法少女に!?」
「そうだ!」
「そうだよ!」
「二人して声を揃えて言いやがって……。くそう、俺はどうすれば……」
「さっさと変身しろ! じゃなきゃお前の大事なプリンセスを刺すぞ!」
「きゃあ! シンク、早く魔法少女に変身して!」
「えーい! ままよ! 変身!!」
――。
――――。
――――――。
フリフリドレスに身を包んだシンク。
「魔法少女シンク! あなたにラブリーハートをぶつけちゃうんだから! うふ♡」
シンク渾身の決めポーズ!
決まったね!
「ま、まさか本当にあっちが本物だったなんて! くそ、殺らなきゃ殺られる!」
美咲先生はわたしを後ろに放り投げる。
そのまま懐からだした刃物をいっぱいシンクに向けて飛ばす。
でもこれでわたしは自由の身。
よし、もう一度変身だよ!
――。
――――。
――――――。
そう……。
シンクに渡したカードはもちろん偽物。
わたしの魔法は生み出した物に役割を与えられる。
偽物のカードを生み出して、それに役割を与える事だってできるの。
シンクを魔法少女の衣装にコスプレさせるっていう役割をね!
「食らえ! ジューシー柑橘スプラーーーッシュ!!」
「「ぎゃあああああああ!!」」
必殺技が美咲先生に直撃!
ついでにシンクも巻き添えだ!
「でも安心して。シンクの為に消臭効果を着けといたよ」
「ぷ、プリンセス……。それは……俺を巻き添えに……したフォローに……なって……な……い。がくッ」
気を失ったシンク。
美咲先生も例の気色の悪い蟲を吐き出して、間も無く気を失った。




