二枚目のカード プロローグ
今日もお昼休みの保健室は多くの女子生徒たちで込み合っていた。
待機列が廊下までずらーっと伸びている。
「相変わらずスゴイ人気っぷり。やはり顔なのか!?」
わたしはシンクとお話する機会を伺っていた――。
結局パパとママは柚希お姉ちゃんの存在には一切触れることはない。
きっとお姉ちゃんがパパとママの本当の娘なんだ。
わたしを助けるために彼女は存在を消された……。
わたしがが居場所を奪ってしまったんだ……。
そう思うとやるせない気持ちがどんどん押し寄せてくる。
はっ! ダメダメ! そんな弱気になってちゃ、わたしらしくないぞ!
やっぱりわたしはお姉ちゃんを取り戻さなくちゃいけない。
そのためにはカードを集める必要があって……。
「よし! シンクから話を聞かなくちゃ!」
すると背後から。
「やあ、プリンセス。俺に会いに来てくれたのかい? 嬉しいよ」
「ぎゃああああ!!」
びっくりして悲鳴を上げてしまった。
すぐに振り向く。
そこには白衣を纏ったシンクが立っていて、こちらへ手を振っていた。
「え!? なんで? 保健室の中にいたんじゃないの?」
「ああ、中を覗いてごらん」
言われるがまま待機列の隙間から保健室の中を覗いてみた。
「んな!? なにあれ!?」
それは狂気の沙汰という言葉が相応しい光景だった。
椅子にちょこんと座っているのは一体のテディベア。
取り囲んでいる女子生徒たちは虚ろな目。
そしてテディベアをシンクだと思い込んで、楽しそうに語り掛けているのだ。
わたしは廊下の彼方へ向かって叫んだ。
「キャー! お巡りさーん! こいつです!!」
「わー! わー! 違う違う! 誤解だ!!」
慌てふためくシンク。
「何が誤解なの! 誰がどう見たって女子小学生相手に良からぬことをしているじゃない! 事案じゃん!!」
「話を聞け! あれは一時的なもので人体には影響ない! それにこれはキミのためにやっているんだ。そろそろキミが俺の話を聞きに来る頃かと思ったから!」
「ほんと、男っていっつもそうね! キミのためって言えば簡単に落ちると思ってるんだから。まあいいわ、話しだけでも聞いてあげる」
「そ、それは光栄だなあ……」
シンクは苦笑した。




