小さくなったみかん 8
やはりシンクは姿を現した。
その縮尺はなぜかわたしと同じ。
まさか手加減をしているとでもいうの……?
「嗚呼、プリンセス。なんて痛々しい姿だ……」
「あなたの本当の目的は何? カード? それともお姫様?」
「そんなの決まっているだろう。カードの回収さ。そう、だからこのまま黙って差し出せばキミ達を元の姿に戻してあげよう。さあ、カードを渡すんだ」
「イヤ! このカードはわたしがお姉ちゃんを取り戻す為に必要な物なの! あなたみたいな顔だけの変態に渡す訳にはいかない!」
わたしは立ち上がると、黒ずんだ魔法のステッキを構える。
「そんなゴミを構えてどうするつもりだ。もう必殺技は撃てない。そうだろう?」
シンクの視線はステッキに向いている。
この隙にわたしは右足のつま先で地面に絵を――。
「させるか!!」
「きゃあ!!」
シンクが弾き飛ばしてきた巨大な砂粒がわたしの身体に直撃。
わたしは倒れ伏した。
身体に力が入らない。
シンクがこちらへ向かってきているのが分かる。
「だから言っただろうプリンセス。これはごっこ遊びではないと」
ダメだ……。こちらの思惑は完全に見抜かれている……。
わたしは未だにこの男が何を考えているのか読めないというのに……。
「だから早くカードをこちらに渡すんだ」
こちらの考えは全て読まれている。
そんなのズルい。
「良い子だから。さあ!」
こんな顔だけの変態には絶対に負けたくないのに……。
わたしはもう……これで終わりだというの……?
そんなの……。
「絶対にイヤ!!」
その時――。
!?
遠くで何か大きな物が煌々と光りだした。
更にそれと呼応するように、手元のステッキも輝きだしたのだ。
「な、なんだその光は!? この期に及んで一体何を企んでいるプリンセス!?」
「知りたい? だったら教えてあげる!」
わたしは既に分かっている。
向こうで光っている物が何なのか――。
どうやらわたしの元から離れた物はこれ以上縮尺は変わらないらしい。
わたしは念じる。
「スケッチブックよ! ジューシーさマックスの蜜柑に変われ!!」
「何!?」
煌々と輝く巨大な蜜柑が姿を現した。
それはわたしの想いに反応し、ジューシーさを極限まで蓄えている。
そう、ジューシーさが枯渇したら作ればいい。
わたしは予めスケッチブックに蜜柑の絵を描いておいたのだ。
「シンク、あなたは言った。大きさはパワーだと……。あそこに現れた蜜柑のパワーは今のあなたを遥かに超えている。そのジューシーさはまさに極限!!」
「く、くそう!」
分が悪いと感じたのか、シンクはわたしに背中を向けた。
逃げようたってそうはいかない!
「食らえ! 極限のジューシー柑橘フルバーストおおお!!」
ドゴオオオオオオン!!
「ぎゃあああああ!!」
魔法のステッキから放たれた黄金の光線がシンクに直撃した。




