小さくなったみかん 7
シンクは不敵な笑みを浮かべながら石ころを拾い上げると。
「それ!」
勢いよく遠くへ放り投げた。
石ころと言っても彼にとっては巨大な岩も同然だけど、でもとにかく軽々と放り投げた。
それは遥か真上の電線に留まっていたカラスに命中し――。
「カー! カー!」
怒ったカラスがこちらへ向かって急降下してきたのだ。
「んな!?」
それでもなおシンクは石ころを拾っては周囲へ向かって次々と放り投げていく。
「フシャー!!」
「カーカー!!」
石ころをぶつけられた猫や他のカラスも怒ってこちらへと向かってくる。
「ふははは! これで分かっただろう。これは子供のごっこ遊びでは無い! カードを掛けた殺し合いなのだという事が!」
シンクはカードの回収とプリンセスを探す事が目的だと言っていた。
なのに唐突にわたしからカードを奪う事を優先してきた。
彼が何を考えているのかは不明だ。
まったく理解できない。
でもとにかくこのシンクという男はわたしを殺してでもカードを奪う気だ。
そんな事を考えていると……。
!?
いつの間にかシンクの姿が消えている。
もちろん今のわたし達は砂粒程小さくなっている。
カラスや猫から認識されているとは考えにくい。
だけどもし、衝突したならそれはかなりのダメージになる。
普通の人間が大きなダンプカーに跳ね飛ばされるのと同じことだ。
わたしは魔法で箒を作ると雪丸を抱えて飛び立つ。
しかし――。
既にカラスや猫達はわたし達のすぐ側に迫っていたのだ。
ぶおおおおおおん!!
乱気流に巻き込まれ、勢いよく吹き飛ばされた。
空中で身体がグルグルと回転する。
「きゃあああああ!!」
「うわあああああ!!」
目が回る……。
その凄まじい衝撃にスケッチブックが懐から飛び出しどこかへ消えてしまった。
間も無く箒から振り落とされて地面に叩きつけられたわたしと雪丸。
いや、もはやこれは地面ですらない……砂粒の表面だ。
わたしと雪丸はさらに小さく、砂粒さえも下回っているのだ。
傷だらけの姿で倒れ伏すわたしと雪丸。
雪丸は絞り出すように声を出した。
「みかん……すまない。全て俺のせい……だ」
雪丸はきっとわたしに嘘をついていたんだ。
それが何のか、わたしには聞く権利がある。
だから――。
「そうだよ! 全部雪丸のせいだ! 何を隠しているのか知らないけど、あのシンクとかいう人をやっつけた後に全部洗いざらいちゃんと喋って貰うんだから!!」
「それって……。ま、まさか……勝てるのか……? 奴に……?」
「絶対に勝つ!!」
シンクはカードの回収が目的だと言っていた。
そのカードは今わたしが持っている。
だったら絶対にもう一度わたし達の前に姿を現す。
そこを叩く!!




