小さくなったみかん 4
巨人の足元をスイスイすり抜けて、森の中へ身を隠すと……。
箒は元の絵に戻った。
今更だけどわたしの魔法には時間制限があるみたい。
でもとにかく安全なところに隠れることはできた。
近くには大きな虫がうじゃうじゃいるけど……でも巨人に踏み潰されるよりは遥かにマシだ。
冷静に考えるとわたし達が小さくなっていると分かった以上、巨人だと思っていた彼らは普通の人間だ。
その頭身を考えるとたぶん3才くらいの子供に違いない。
それにスモックを着ている事から近所の保育園に通う園児たち。
因みにここも森じゃなくてただの雑草なのかなあ……?
あ、どうやら雪丸が目を覚ましたみたい。
「うわあああああ!! 踏み潰されるー……って、あれ?」
「その件はもう終わったよ。とにかくわたし達に何が起こっているのかを把握しなくちゃ」
「そ、そうだな」
「まずはどうしてわたし達だけが小さくなったかって事だけど……」
「え!? 俺達って小さくなってたのか!?」
「えー、いまさら? だってこの大きな木に見えるやつはオオバコだし……あそこにいる怪物はよく見たらカメムシ、イモムシ、ダンゴムシだよ」
「――ッ!?」
絶句する雪丸。
また気絶されても困るからとりあえずくすぐっておこう。
「よーしよしよしよし――」
「うわ! やめろみかん! ぎゃははははは!!」
「じゃあ話を戻すよ。たぶんわたし達は悪い魔法使いさんから攻撃されたんだと思う。でも気がかりな事がある。どうしてわたし達を小さくする必要があったのか……」
「それは俺達を確実に倒すためだろ? じわじわとなぶり殺そうとしてるってやつ?」
「なぶり殺してどうするの? 目的は?」
「カードだろ?」
「だとしたら変だよ。こんなアリさんよりも小さくなったら見失っちゃうでしょう? カードだって小さくなっちゃってるわけだし……」
「う~ん……」
考える素振りを見せる雪丸。
たいした情報も無いさそうだし……やっぱり結論をだすにはまだ材料が足りないみたい。
「とにかく次の攻撃がくる可能性が高いから警戒するよ」
「お、おう!」
その時、むこうの茂みがガサガサっと揺れて。
!?
なんとわたし達と同じ縮尺の人間が飛び出してきた。
それは超イケメンの若い男の人だ。
あっ、目が合ってしまった。
「おーい、キミ達~!!」
こちらへ駆け寄ってくる。
「ねえ雪丸、どう思う?」
「任せる」
「じゃあ決めた」
わたしは魔法のステッキに特大の気力を込めると……。
「くらえ! ジューシー柑橘スプラーッシュ!!」
駆け寄って来るイケメンに躊躇なく必殺技をぶっ放した。




