絶対に許せない相手 2
突如わたしの前に現れたサラリーマンっぽい人は困惑している。
「え!? なんで!? 俺さっきまであっちにいたのに……」
その人の視線の先には……あのお兄さんがいる。
「雪丸! 今度はちゃんと見たでしょ?」
「ああ、しっかり見た。間違いねえ、やつは魔法使いだ」
だったら、わたしがやることは決まっている。
「雪丸! あの人追うよ!」
「当たり前だ!」
ふと、横目に見えた。
事故を起こしたトラックから学ラン姿の学生さんが降りたのが……。
彼は、「俺じゃない」
とか、「気付いたらいつの間にかトラックに乗っていたんだ」
などを連呼している。
たぶんそれは正しい。
あくまでわたしの推測だけど、魔法使いのお兄さんはトラックに跳ねられる直前に魔法を使った。
それは自身とトラック運転手の立ち位置を入れ替えるというものだ。
そして彼は運転手だったおじさんを跳ねて、即座にもう一度魔法を使ったんだ。近くを歩いていた学生と立ち位置を入れ替えるという魔法を……。
わたしはそういうズルい人を許すことができない。
ここで彼を見逃すと、再びどこかで同じことが起きるに違いないからだ。
それに彼は、わたしが残りのカードを探す為の手掛かりになり得る。
わたしはズルい魔法使いのお兄さんを追いかける。
彼が角を曲がったのが見えた。
わたしも角を曲がる。
「あれ? いない!」
すると背後から声がする。
「てめえ、しつけーんだよ!」
振り返ると、お兄さんがいた。
わたしはすぐに距離をとった。
「あーあー、面倒くせーなー。てめえには俺が力を使った所を見られたからな。だからもう逃げるのは止めだ! ぷっ、てめえはここで潰す!!」
お兄さんは噛んでいたガムを地面に吐き捨てる。
わたしは透かさず言い返す。
「それはこっちのセリフだよ! あなたみたいなズルい人はわたしがやっつけるんだから……変身!!」
わたしはカードをかざして魔法少女に変身した。




