本の魔法使い 9
その一方で……。
気絶している僕ちゃんの身体が急に黒い炎に包まれる。
黒い炎はすぐさま消えると、魔法少年と共に消えてしまった。
「え? どういう事?」
思わず声が漏れる。
「それについては私から説明しましょう」
カードから声が聞こえる。
「あ、カードのおばさんだ! 元気?」
「美人のお姉さんですが、お陰様で元気です」
カードのおばさんは咳ばらいを一つ終えると、淡々と説明し始めた。
「あの坊やが使った魔法は呪いの類なのです」
「呪い?」
「そう呪いです。呪いとは、何か犠牲を払って魔法を生み出すもの。それを使うものは精神的ダメージを負った時にその代償を負うのです。あの本を見て下さい」
すると落ちていた本のページが勝手に開く。それを覗くと……
「あらま」
僕ちゃんと魔法少年のあの光景が、本の挿絵として表れていた。
「彼は本を犠牲にした代償で最後は本に吸い込まれてしまったのです」
わたしは一つ不安を覚えた。
「ねえ、カードのおばさん……わたしの魔法は呪いじゃないの?」
「私は私の意思であなたに力を与えています。なのでギリギリセーフです。それに私の力は無限大です。それも言葉通りの……。私はこの世の理から大きく外れた特別な存在なのです。それから……美人のお姉さんです」
「この世の理? それってどういう……」
「さて、そろそろ図書館を元の状態に戻しましょうか」
話をはぐらかされた。
そして、カードからキラキラしたものがあふれ出していく。
キラキラが消えるのと引き換えに、散らかっていた図書館が元の状態に戻っていく。
それを全て見届けると。
「あら? みかんちゃん。今日はどうしたの」
振り返ると司書のお姉さんがいつもと変わらない笑顔を向けていた。
「あ! お姉さん。本を返しに来たんだよ」
「早いね。もう読み終わったの」
「うん。それから彼女は本当はCだったんだよ」
「何の話?」
「やっぱり何でもない」
乙女の体裁は守らなくちゃね。
わたしは本の表紙に向けてウインクした。




