誕生!! 魔法少女ジューシーミカン 2
その日の深夜――。
「わんわん」
雪丸が吠えている。
雪丸っていうのはもちろんワンちゃんの名前。
わたしが付けたの!
可愛いでしょう?
「わんわん」
また吠えている。
でも気にしない。
「わんわん」
まだ吠えている。でも決して構ってあげない。わたしは今とっても眠いのだ。
「わんわん」
…………。
「よし、反応なし。寝たな」
――!?
え!? 今喋ったよねこのワンちゃん。
いや空耳かな?
そうだよね、きっとそう。
雪丸が喋る訳ない。
きっとわたしは疲れているんだ。
「それにしてもこのガキ、オレに雪丸とか変な名前付けやがって……」
やっぱり喋ってる!!
よし、それじゃあ――。
わたしは雪丸に思いっきり抱きついてみる。
「うわあ!」
雪丸は悲鳴をあげる。
「うーん……もう、食べられないよー」
とりあえず寝言のふり。
「はあはあ、なんだ寝言か……驚かせやがって」
なにやら安心しているようだ。
わたしは自分の両目をこれでもかというくらいグワッと開く。
雪丸とわたしの目と目がバッチリ合った。
わたしは問う。
「あなた今、喋ったよね?」
「うわああああ!!」
雪丸の悲鳴が家中に響き渡った。