本の魔法使い 5
わたしはライオンに噛まれた腕を押さえながら本棚に身を隠す。
痛い、とにかく腕が痛くて痛くて仕方ない。
腕を見る。血があふれ出して床にしたたり落ちている。
これをみると余計に痛みが増して眩暈までしてきた。
まずは腕を止血しないと……。
わたしは袖を引きちぎって止血を試みる。
「おらおら! さっきの威勢はどこにいった! まさかてめえがカードの所持者だったとはなー! てめえを殺してオレがカードを手に入れてやるぜ!」
本棚の向こう側から僕ちゃんの意気ぶった声が聞こえる。
そうか、彼もカードを狙っているんだ。
でも正直言うとわたしにはカードについての知識がほとんど無い。
分かっていることはわたしを魔法少女へ変身させる力があるってこと。それからカードの中には便利なおばさんが宿っているってことの二つだけだ。
雪丸の話は長いからつまんないし……。カードのおばさんは肝心なことになるとすぐ話をはぐらかすし……。
もう……カード捨てちゃおうかな?
「でもダメ! 少なくともあの僕ちゃんにだけは渡さない。本を粗末にする子供は絶対にお仕置きしてやるんだから!」
なんとか腕の止血はできた。
でもとうとう僕ちゃんに見つかってしまった。
「見つけたぜ! 猛獣ども行け! あいつを食い殺せ!!」
また猛獣が襲ってくる。でもわたしだってただ逃げ回っていただけじゃない。
「よし、掛かった!」
わたしは咄嗟に念じる。
僕ちゃんと猛獣の足元が光り出す。
わたしが逃げ回りながら描いていた絵が……。
その絵がイメージした通りの物体へ変貌を遂げていく。
そう、猛獣を捉えるトラバサミの姿に!!
「ぎゃあああ!!」
罠に掛かった僕ちゃんと猛獣たちが悲鳴をあげる。
思いのほか効果絶大だったようだ。
わたしはステッキを振りかぶる。
「さあ、おいたが過ぎる僕ちゃんへお仕置きの時間だよ! 食らえ! ジューシー柑橘……スプラーーッシュ!!」




