本の魔法使い 1
図書館で本を探していると、後ろから声を掛けられた。
「あれ? みかんちゃんじゃない?」
振り返るとすらっとした女の人がこちらを見つめている。
「………………」
「………………」
「………………?」
「おい、こらこら! あからさまに、誰こいつ? みたいに首をかしげるな! お姉さん寂しいよ」
このノリの良い切り返し……思い出した。この人は司書のお姉さんだ。
「あ! お姉さん!!」
「久しぶりみかんちゃん。元気にしてた?」
「もう超絶元気! お姉さんは? あと、ヴィジュアル系の彼氏は元気?」
「いや、そんな男一度もいたこと無いから。っていうか、まともに男と付き合ったことすら……って何を言わせるの!」
一応言っておくと、互いに小声で会話をしている。ここ、図書館だからね。
「で? みかんちゃんはまた魔法使いの本でも探しに来たの?」
「そうなの。でもわたしの探している物は無いみたい」
「久々に来た割には諦め早いな。まだ朝一なのに……。あ、そうだ! ちょっと待ってて」
そう言ってお姉さんがどこかへ行っってしまう。
その間、暇つぶしにそこら辺の本棚から「魔法少年ビューティーサロン! ~僕が憧れるカリスマ美容師サロン先輩は正義の魔法少年だった!?~」を手に取っていると……
「こら! 小学生にハードBLは早いぞ!」
あ、本が取り上げられてしまった。
「ねえ、なんで薄いのにハードなの?」
「そんな事よりハイ、これ」
この時のお姉さんの笑顔はとびっきりキラキラしていた。そして渡してきたのは一冊の児童小説。
お姉さんによると、この本は魔法使いになった少女がみんなの夢を守る為に戦うお話みたい。
なんだか面白そうだから借りることにした。




