青の節~足立と泉の美女
もう一人の女子高生の帰宅途中、橋の上から河を眺めている一人の大人の女性を見つけた。その女性は青を基調としていてやや大柄ながらも健康的な美しさを醸し出していた。その美しさに女子高生は釘付けだった。暫くして女性は女子高生の方を向いた。美しくも威圧感溢れる雰囲気に女子高生は息を呑んだ。
「あら…、あなた…。」
「!…。」
「大丈夫、怯えなくていいわ。わたしは『アジューリア』って言うの。あなたは?」
「…『足立』と言います。(強そうなのに優しい感じで良かった…。)」
足立とアジューリアはお互い自己紹介した。足立はアジューリアの美しくも近寄り難い雰囲気ながらも穏やかな物腰に胸を撫で下ろした。
「足立だったわね。わたし…、皆とはぐれてしまって…。何か手がかりがないか探していたところなの。」
「…その人達の名前は何ていうんでしょうか?」
「『ケント』と『シーナ』っていうの。わたしの大切な人達よ。」
アジューリアはケントを探していると伝えた。
「唐突で悪いけど、一つ協力して貰えないかしら?特にケントとシーナの二人を一緒に探してほしいの。」
「わかりました、アジューリアさん。まずは私の家に…。」
「ええ。」
足立はアジューリアの申し出を引き受けた。足立は帰り際に彼女を同行する事にした。
足立がアジューリアを連れて一緒に帰る途中の事だった。
「ねえ、この町に流れる河の事だけど…。あんまり綺麗じゃないわね…。水も濁っているし、ゴミもいっぱいで、何より魚が泳いでいないし…。一体何がどうなってるのかしら?」
アジューリアは肘川市に流れる河が汚い事が気になった。
「確かに河の水はきれいじゃないですよ。街に人がいっぱいいるとゴミも増えますし。…アジューリアさんとこの河の水はどんな感じでしょうか?」
「わたしのいた所の河は魚がいっぱい泳いでいるくらい綺麗だったわ。まあ、スラムの河はここと同じような感じだけど…。」
「アジューリアさんの町にはスラムがあるんですか?」
「ええ。でも、この町は見た限りスラムがないわね。それだけ治安も良いって事かしら?」
「はい、確かに警察の人達が頑張ってくれてますからね。」
「『警察』?もしかして騎士団の類かしら?」
「『騎士団』?って事は…、アジューリアさんはこの世界の人じゃないって事でしょうか?」
「まあ…、そういう事になるわね。」
足立とアジューリアは色々話し込みながら帰って行った。