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道標
だんだんと 光を失い
だんだんと 蝕まれ
だんだんと 機能は低下し
だんだんと 自由を奪われていく
失い続ける日々を
私は どこまで私のままで 生きていけるのだろうか
生きるのが 怖いんじゃなくて
死ぬことが 怖いんじゃなくて
絶望することが いちばん怖い
願いが消え続ける日々を
私は どこまで私を見失わずに 歩いていけるのだろうか
ずっと そばにいてほしいなんて 言えない
ただ いつか ひとりぼっちになっても
寂しさで凍えついてしまわないように
ありふれた「今」を 懸命に蓄えておこう
私が私であるために
悦びや悲しみ きっとこの胸の痛みさえも
いつか愛おしいとさえ 思える日がくるのだろう
あの日 あの時
過ぎ去りし愛の記憶が 私の道標
空に還る
あと少し、もう少しだけ、私に。