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暴露大会と情報交換

「ねぇ、お姉ちゃん。転生って実際にありえると思う?」


ある日の夕方、わたしは思い切ってアンリに転生について訊ねてみることにした。


 アンリは一瞬驚いたように目を見開いたがすぐにいつもの表情になり、わたしの問いに答えてくれた。



「転生、ですか? ありえるんじゃないでしょうか。魂という存在が実際にあるというのがこの世界で最初に学ぶことのようですし、魔法は魂がないと使えませんし」



 アンリがただの天才ではなく転生者であることは分かっているのでぐらかされたらいくつかの違和感を指摘してなんとか聞き出そうと思ったがあっさりと話してくれたことに拍子抜けしながらその理由を訊ねた。



「簡単な話ですよ。エルちゃんが私が転生者だと気付いているように私もエルちゃんが転生者であることに気付いているからです。


 なぜなら字が読めるようになるまでが早すぎます。初めて本をきちんと読み切ったのは一歳半くらいですが普通もっと遅いものですよ。


 そして最初全く字が読めなかったことからこの世界ではない別の世界からの転生ではないかと思いました。信じられませんでしたけどね、そんな突拍子もない話」


「転生は信じるのに異世界は信じないの?」


「異世界自体は信じます。魔族やエルフは元々「異界」と呼ばれる別世界の人たちですから。でもエルフや魔族が人族に転生したという話は聞いたことがないので」



 なるほど、異世界自体は認知されていても異世界の存在が転生するかどうかはまだわかっていないのか。


 異世界から物質の転送は魔族やエルフがいることからできるんだから魂もそうなのでは……と思考の海に沈もうとする私の意識をアンリの質問が現実へ引き戻した。



「私が転生者に気付いた理由は話したので今度はエルちゃんが話していただけますか? 何故私が転生者だと分かったのか」


「それはお姉ちゃんの視線と読んでいる本の言語の種類がこの年の子供ではありえないほど多いからだよ。お姉ちゃんは人族の言葉だけではなく魔族、エルフ、獣人の言葉を理解できているでしょ?


 本を読むときに絵だけを見ているんじゃなくて明らかに斜め読みしていたから理解できているんだなって思ったよ。読めないなら途中で読むのを諦めるし」



 それを聞いたアンリはなるほどと頷いた。



「子供らしく過ごそうと思っていたのですが上手くいっていなかったようですね、私もまだまだです。まぁそれは置いておいて情報交換しませんか? 私もまだまだ情報が足りなくて困っているんです」



 わたしもまだまだ情報が足りないので今持っている情報と転生した大まかな経緯をアンリに話した。



「えぇ!? アンリって五百年前の人だったの!? 驚いたよ、すっごく!」


「私からしたら異世界から転生してしかもその世界では魔法がないことの方が驚きです…… こちらの世界では科学とは何かしらの媒体が必要で要所要所で役に立つもののそれ以外は魔法の方が優秀だという認識だったので」



 そう、実はこの世界では科学は十分に発展した後で、自動生産などの魔法ではできないことを除いた数種類の機械しか残っていなかったのだ。


 魔法の発展に大きくつながっているので完全に科学が消えたわけではないが殆ど廃れたと言っていい。


 この世界の常識についていけるかも問題だが一番の問題は両親にいつどのように説明するかだ。正直いきなり「わたしたち実は転生者です♪」なんて言っても信じてもらえるか怪しい。


 これまで両親や使用人たちの前でそういう素振りをしていなかったからこそ信用されないのではないかと少し不安だがアンリはそうは思わないようで、


「あの二人なら信じてくれますよ、きっと。私たちが朝から晩までここにいることを知っていながら止めようとはしませんから。まぁ子供の親としてはどうなんだと思わなくはないですが私たちや使用人を信頼している気がしますよ」


と普段とは違う柔らかな笑みを浮かべていた。



―――――――――――――――


次の日。



「何? お前たちは転生者でエルに至っては異世界からきただと?」


「は、はい……」



 わたしとアンリはお母様に頼んでお父様の執務室にやってきた。


 お父様、「レクス・コレット」は茶髪に緑眼の鋭い目をしたイケメンだ。見た目通りの厳しさと何があっても見捨てない優しさを併せ持ち、真面目ゆえにマイペースなお母様に弱いという弱点がある。


 いきなり大事な話があるというわたしたちに、お父様はすぐ仕事の手を止め話を聞いてくれた。


 アンリは信用した人には甘いみたいだ。今も寛いで本読んでるし……あれって魔族語だよね。それにしても考え事してるお父様怖すぎ!


 お父様の返答を待っているとしばらくして結論が出たのかお父様が顔を上げた。



「信じよう」


「……えっ?」


「お前たちを信じると言ったんだよ」



信じて貰えたことに驚いて固まったわたしをお母様が優しく抱きしめてくれた。



「普通なら信じて貰えないと思ってたんでしょ〜? 私たちは二人が普通の子供ではないとわかった時に話し合って何があっても信じる事に決めたのよ〜」


「さっきまで考えていたのは転生者であることをどうやって隠そうかということだよ。 ……ってエル? どうしたんだい?」



お父様の言葉で不安は無くなったがその反動か悪戯心が湧いてきた私は泣きそうな顔を作るとお父様をポカポカ叩いた。



「紛らわしいんだよお父様!! こっちは気持ち悪いって嫌われるかと思ってたんだよ!?」


「ハ、ハァ!? どうしてそうなったんだ? 私たちは最初からエルたちを信じていたぞ?」


「難しい顔してたから怖かったんだよ!」


「こ、怖い……だと」



あははは♪ 目論見通りオロオロしてる♪



「確かにレクスって黙ってると結構怖いわよね~。私も初めて会った時緊張したわ~」


「あぁ、わかる気がしますね。前世での経験が無かったら私も怖がってますね、あの顔は」


「そこまでなのか……?」



乗ってきた二人の言葉を聞いて鏡の前で顰めっ面をしているお父様が面白くて三人で大笑いしてしまった。


もちろんからかわれた事に気づいたお父様に叱られたけど。凄く……怖かったよ。

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