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歴史は繰り返す  作者: プニぷに
3/3

エンディングロールとリスタート

 俺は何度も繰り返した。

 それはもう気が狂う程に。


「よく来たな、我が息子よ」


 何度か魔王側に寝返った。


「よく来たな、我が息子よ」


 もう何度も仲間を殺して裏切った。


「よく来たな、我が息子よ」


 魔王の眼前で寝転がったり、赤ん坊のように転がったり叫んだりした。


「よく来たな、我が息子よ」


 逃げたり。


「よく来たな、我が息子よ」


 自殺しようともした。


「よく来たな、我が息子よ」


 その結果。


「よく来たな、我が息子よ」


 俺は死ねず、魔王は必ず死ぬ。


「よく来たな、我が息子よ」


 そして魔王が死ねば……。




「よく来たな、我が息子よ」


「和平を結ぼう」


「何を言っている?」


「次にいいだろうと言って近付いて、俺に攻撃を仕掛ける。俺の仲間がそれを守り、反撃。お前はまたしても死ぬんだ…………そしてまた「よく来たな、我が息子よ」と言って俺の前に現れるんだ」


「どうしたんですか勇者様?」


「黙れゴミ」


「ッ!?」


 仲間? なにそれおいしいの?

 俺の苦しみも知らずに張り切りやがって。


 なんでもかんでも殺せば済むとでも思ってんのかコイツら。


「マジで使えねぇ。使ってやってやってやってんのに、ナニコレ? 俺様が何回お前らのせいでこのクソみたいなループで苦しんでると思ってんの?」


 いっそ逆上して俺のこと殺さねえかなぁ。

 ま、それも百回でも千回でも試してやったんだけどな!


「どいつもこいつもさぁあ! なんなんだよ! たった四人で魔王討伐させるし、誰も助けてくれないしさ、挙句の果てに誰もループに気付けないバカときてる」


 これも知ってる。

 俺様が話し終わってもコイツらは暫く黙って突っ立ってるんだよな……魔王も含めてお利口さんか?


「とりあえず邪魔だからまた死んどいて」


 そう言って俺様は、わざわざこの馬鹿どもを殺してやる。

 こんなに死んでるんだから勝手に自主的死ねないもんかね、本当に面倒だ。


「さて、魔王とかいうゴミ。とりあえず喋るな動くな何もすんな」


「貴様───」


「『誰にものを言っているのか分かっているのか?』だろ? 聞き飽きたわそのセリフ。なんか他に無いわけ? まぁ、てめぇの頭じゃそれが限界でちゅよねぇ~」


 同じ事何度も言わせんな。

 そして同じことを何度も繰り返すなNPCが。


「お前が動くとお前は死ぬんだよ。分かるか? 死にたくなきゃ動くな───」


 んで俺の話を遮って来るんだろ?


「「侮辱するのも大概にしろ」」


「ほら言ったまた言った! 飽きもせずバカみたいにループしやがって。未来が分かってんのが分かるかなぁ~お馬鹿さん。お前に選択肢は無いの、というか無くなるまでリトライしてんだ。疲れるからこの辺で大人しく従え無能」


 イライラする。

 この世のすべてにイライラする。


「…………」


「そ、最初からそうしてりゃいんだよ」


 そして俺は変化に気付いた。

 というかこれだけ同じもの見てりゃ変化に敏感になるってもんだ。


「キヒ、這いつくばれブタぁあああ!」


 そう言いながら黙って突っ立ってるお利口なバカ魔王を蹴り飛ばす。

 最高に気持ちがいい。


 相手を支配する感覚。相手をゴミのように扱う感覚。命を弄び、他のバカ共をこき下ろす感覚。


「アッハハハ! 最っ高だなぁあ!」


 そのでれもが最高に俺様を興奮させ、高揚させる。


「ふ~ん、ブタのくせにそこそこ良い椅子に座ってんじゃん」


 何もしてくれなかった、このバカ共しかいない世界を適当に壊して殺す。そう決意して俺は魔王の椅子に座る。


「おいブタ。飛べよ、そこの窓からさ」


 コイツは絶対に俺の言葉に逆らえない。

 それが本能的に分かる。


「ただ死ぬのもつまらないから……って、もう飛んだのかよ。つまんな」


 ようやく世界を変える側に座った。

 要するに俺は今まで変化を受けて困惑する弱くて無能な連中の側だったんだ。


「はっ、バカしかいねぇな」


 父親だったゴミクズが前の魔王を倒してからおかしくなったのも納得だ。


「こんなに楽しいこと知ったら、やめらんねぇよなぁ?」


 それが永遠に勇者と魔王を作り出す『魔王の呪い』と呼ばれる仕掛けだとも知らずに、勇者だった誰かは椅子に座って不敵に笑う。


 この世界にとって魔王とはウイルス。

 勇者とは免疫。


 このループだって魔王城の周辺内だけの話。口に入った餌を逃しはしない為の罠。


「さぁ、この世界を我が手に…………そして、我こそが新たなる魔王だ」


 この世界に救いが無いのは、神がこの世界を手放したから。

 創造神はこの世界に興味がない。だって例の彼女がいないもの。


 神の不在。

 せめて月の要素があれば変わっていたかもしれない世界。


『まぁ次が来たって同じこと。ずーっとこの世界は繰り返してるんだよね』


 勇者と魔王の物語。

この世界は友人が考えたものです。

それを私が代わりに広げて組み立て創りました。


彼のプレイ時間はどの程度なんですかね? 3000文字じゃあ5分くらいかな?

なんて儚くてつまらなくて無駄な…………まぁ、救いが無いからね。仕方ないね。

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