ラスボス前
俺の母を魔王となった父が殺してから18年。
魔王の息子と罵られながら生きてきた。そして俺は勇者に選ばれた。
≪ギィ~ッ≫
黒くて大きな扉を三人の仲間と開く。
広い部屋の奥。座る父親……否、世界の悪たる魔王!
「よく来たな、我が息子よ」
「もう俺はお前の息子じゃない。勇者として、お前を倒す!」
座す魔王に向かって俺はただ真っ直ぐに駆けだす。
「ハァアアッ!」
魔王の魔法攻撃。
それは、過去に俺に見せた父親の術と同じ。あの時と全く同じものだった。
「ワタシに任せなされ!」
味方の魔法使いが魔王の魔法を相殺する。
魔王の戦法は、過去に父親が教えてくれたものと同じだった。
「茨よ! 我の前に現れて道を塞げ!」
黒い茨の棘が次々に地面から生える。
「棘は自分が止めます!」
即座に仲間の剣士が俺の前に出て、棘を切りながら次に出てくる茨を食い止めてくれる。
「剣士さんの回復は僕が!」
傷ついた味方はすぐさまヒーラーの女の子が回復してくれる。
「な、なんだと!?」
慌てる魔王の顔が見えた。
「ハァアアアアアアアアアアッ!!!」
「「「エースギフト!!」」」
味方のおかげで道は開かれた。
伝説の連携魔法『エースギフト』。その効果はパーティーメンバー全員のステータスを一人に集中させる代わりに、それ以外のパーティーが発動中に動けなくなるというもの。
「我は負けぬッ!」
ここまで来ればデメリット効果など関係ない。
俺の剣が魔王の剣と拮抗する。
「終わりだ!」
パーティーメンバーだけではない。
世界中の人々からの想いが乗ったこの一撃。
「ぬぁッ!?」
魔王如きに負けるものではない。
「…………仇は取ったよ……母さん」
魔王は散った。
俺は涙を見せまいとギュッと目を瞑り、そしてゆっくりと目を開ける。
「よく来たな、我が息子よ」
「───なっ!?」
そこには扉を開けた時に見た魔王の姿があった。
僕っ娘以外は全員男です。