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恣望論  作者: 開拓者
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一章

人間の本質は善であろうか?

それとも悪なのだろうか。

或いはそのどちらにも属さないのだろうか。

古代中国から論じられてきたこの命題には解があると考えている。

私の考えは紛れもなくそれは悪である。

人間とは紛れもない悪の塊であり、欲に塗れ、醜く私利私欲のために争いをしてきた歴史を見れば一目瞭然である。

そんな救いようのない種族人間は私であり、また、あなたである。


私は何も人類が嫌いであるからこのような誹謗中傷を書いたのではない。

勿論、理由があって書いたのである。

私は人類が好きだ。しかし、その生き物を個としてみた場合その見識は覆る。


人間は我儘な生き物である。

自分たちの繁栄のために住みやすい環境を整える。

他への影響は見て見ぬふりをして。

環境を変えた人は単純に人類のため、或いは自分の富、名声のために行ったのかは定かではない。

しかし、それが提供され、拡大されていくことにより、環境は壊れていく。

そして人間のココロも壊れていく。

 

人間は嫉妬深い生き物である。

欲しいものは無限に出てくる。

考えれば考えるほど必要になる。

そして、それら全てを揃えることができる者はいない。

いつから人間はそんな妄想を抱くようになったのか。

共産主義と資本主義が成り立つよりも前のことだろうか。

また、世界が資本主義に傾いたからだろうか。

或いはそんな思想は空虚なものでもっと原始的なものかもしれない。

共産主義は、すべての人々を平等にするべく建てられた思想のように見える。

しかし本当はどうであろうか?

いや、その質問は少し変かもしれない。

共産主義の仕組みは成り立つのだろうか?

全ての人に平等に。

飢餓に苦しむ人にも

戦火で家を失った人にも

救いの手は何本あっても足りないだろう。

神は何人いても足りないだろう。


冷戦で争われる以前から資本主義の勝利は確定していたのだろう。

そしてそれは最悪な人間個々を形成する仕組みでもある。

自由に競争し、自由に稼ぐ社会と聞けば聞こえはいい。

しかし、その本質は、他者を蹴落とすことに他ならない。

勿論共産主義は支持しない。

しかし、人類を陥れるのが資本主義であることは間違いないだろう。

自由の名は偉大だ。

誰も逆らえない。

いつからかその巨大なシステムに呑まれ絶滅の一途をたどる人間たちに手を差し伸べるのは、メシアか、或いは神か。

自分たちが作った仕組みに制御装置をつけなかったのは人類の経済における最大のミスであろう。


人間のココロの黒い点は次第に肥大し、人間を黒いモノに変えてしまう。

誰だって生まれたときは善性に満ちた生き物なのだ。

それが、時の経過とともに、砂のお城が風化するようにだんだんと黒く染まっていく。

時間の経過とともにあらゆる可能性を奪っていく。

そして人間になっていく。

人間は社会を構成する一要素として何の疑問もなく、与えられるものを使い、生活し、普通の感覚を身に着ける。

そして、その普通の棍棒を持ち社会に組み込まれる。


これはすべての人類に共通することだ。

しかし、資本主義の自由のもとに生まれる貧富の差は、社会に持ち出した「普通の異常さ」によってもたらされる。

くどくなるようだが、富める者の生活は全人類にはできない。

なぜなら、受け皿となるものがあまりにも小さいから。

仮に、もっと受け皿が大きくても、貧富の差は縮まらない。

なぜなら、富める者は益々富むから。


こちらが深淵を覗くとき、深淵もまた此方を覗いているという。

人類は深淵を覗く力を持っている。

しかし、人間には深淵に覗かれる覚悟があるのだろうか。

その覚悟を身に着けた時、人類はイノベーションを埋めるのではなかろうか。

一部の思想家による提唱を期待するのではない。

私は「普通の棍棒」に組み込まれることを期待する。

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