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3.世界の謎

500年前の話だ。


太陽系の天体として知られている地球では、男女比1:1のごくごく当たり前の世界がそこにはあった。


人は笑顔に満ち溢れ動物は軽やかに草原を駆け抜ける。そんな世界だ。


だが、それからというもの世界は少しずつ変化の兆しを、表していった。


当然起こった戦争。

疫病の大流行。

異常気象による社会の混乱。

大きな災害。


他にも多くの事が起こったが例としてあげるのならこれくらいで十分だろう。


そして、これらの要因が原因となって、元々体が丈夫に作られている女性は生き残り、貧弱な体である男性は絶滅したのだ。


ちょうど、最後の男性が死んでしまったのは、1〜2世紀ほと前の話。


それからというもの、女性中心の社会は子孫繁栄のために開発を急がせた。


その最も大きな成果と言えるのが人口的繁殖技術である。


人口的繁殖技術と言うのは簡単に言うと繁殖行為、つまりs●xをしなくても子供を残せると言うものだ。


言うまでもないとは思うがその人口的繁殖技術による男子の出生率は0パーセントだ。


「だから、男って言うのはとっても大事な存在なの。分かった?」


ペチャ子が一生懸命今までの歴史を話してくれた。


(うん。これは、夢だ。)


浩二は、血反吐を吐きながら、思った。


普通なら、喜ぶかもしれないほどのビッグイベントなのだが童貞の彼は男と群れる事が好きなのだ。

だから、浩二はその事実を信じようとはしなかった。


「!?浩二!たいへん!血が……口から血が出てる!」


ペチャ子はアワアワしている。


「あ、嗚呼。……男ってのはよく口から血が出るんだよ。気にすんな。」


浩二はペチャ子に適当なことを教え、(ま、信じるわけないか。)と考えていた。


しかし、ペチャ子は浩二の予想をはるかに超える返答をした。


「え!嘘!男の人は口から血を出す習性があるの!知らなかったよ!メモしとかないと!」


そういって、ペチャ子は懐にしまっていたペンとノートに何かを書き始めた。


(ええ〜?信じちゃったよこの子。そして、吐血が男の習性だと思っちゃってるよこの子。どうしよ。俺、これからどうしよ。)


浩二が、そんな事を考えていると、パタンとノートを閉じる様な音が聞こえた。


「では、浩二!お腹すいたでしょ。

ご飯食べに行こうよ。もう、準備できてるから。」


ペチャ子は、ニッコリと笑いかけてくる。その笑顔に一片の曇りもなかった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

と言う事で、浩二は部屋を出て食堂に向かっていた。もちろん隣にはペチャ子がいる。


何故か、ペチャ子は浩二の腕に捕まっているが、浩二は何も気にしていなかった。


(だが、すげーな。部屋の内装も凄かったけど廊下も物凄く広いわ。)


浩二が、感嘆していると前方から2等組の女性が来た。


やはり可愛らしい見た目をしている。


「おはようございます。」


浩二はその女性に向かって挨拶をした。


すると、

「「お、おはようございます!…」」

と顔を赤らめながら、挨拶を返してくれた。


「なぁ、ペチャ子。なんで、みんな俺と挨拶するとき目を合わせようとしないんだ?」


「それは、あなたが男の人だから緊張してるのよ。この世界の女性は全員処女だし。」


「あー。はいはい。分かった。分かった。んで?食堂まで後どのくらいだ?」


やはり、浩二は信じようとはしなかった。


「もう着いたよ!ここ!この部屋が食堂だよ!」


そう支持されて、浩二が視線を向けた先には、これでもかというほどの大きなドアがそびえ立っていた。


「ひょーえー。まるで中世じゃん。」


浩二が、驚きに駆られていると、そのドアが大きな音を立てながら開いた。


すると、その部屋の中から沢山のメイド服を着た可愛らしい女性が、


「「「「「「「「いらっしゃいませ。ご主人様。」」」」」」」


と、声を合わせて挨拶をしてくる。


心なしか、いや。メイドたちは顔を火照らしてチラチラと浩二の方を見ている。


「さぁ、浩二。中に入って。私のお母様が待ってる。」


「え?ペチャ子ママいるの?まじか。」


「お母様の前では、絶対にペチャ子って呼ばないでよ!絶対だからね!」


「え?アア、ウン。ワカッタ。」


「なんで片言になったの?信用できないよ!」


「大丈夫だ。恋紀。流石にそれくらいの分別はついてる。」


浩二が、笑顔をペチャ子に向けると、


ペチャ子は、

「わ、分かってるなら………いいよ。」

と、顔を真っ赤にして、目をそらしてボソボソと言った。


(初めて名前で呼んでくれた。キャー)

ペチャ子は、照れていた。



(((((((いいなぁ。私も名前で呼ばれたい。)))))))


その、茶番を傍観するメイドたちもその様な事を思っていた。


一方で浩二はと言うと。


(ああ〜。たこ焼き食べたいな〜。)


全く別のことを考えていた。


「では、浩二。早速中に入りましょう。」


「おう。ぺち…………恋紀!」


ペチャ子と言いかけたがギリギリ踏みとどまった浩二であった。


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