1.死んだら、また、死にました。
俺の名前は、山寺浩二。
近所の、御版亭学園御版亭学園に、通っている、いたって普通の高校2年生だ。
今、俺は、元気に学校に登校している最中である。
普通じゃないところといえば、彼女いない歴史=年齢の童貞で、ブスにしかモテないという事くらいだ。
ブスにしかモテないと言うのは、生まれてこの方、8回告白されたが、その8人ともが、とんでもないブサイクだったのだ!
そう、あれは、去年の今頃の話だ。
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「ねぇ、浩二〜。あーし、あんたのこと、マジ好きなんですけどぉー。付き合ってくれん?てゆーかぁー。付き合ってくれんかったら、マジでMK5なんですけどー。」
そう言ってくる、女はバチバチのギャルだ。
しかも、ただのギャルではない。
この女、服から肉がはみ出るほどの脂肪をお腹に蓄えており、髪型は、ギャルのくせに、卑弥呼のようになっている。あと、ケバいな。
イメージがつきにくいだろぬうが、仕方がない。それほどに、人外のような見た目であるのだ。
「あ、ありがとうねぇー。う、嬉しいなぁー。でも、付き合うのは、無理かなぁー。と、友達から始めたいなぁ〜。」
俺、つまり、この山寺浩二の額から大量の汗が滝のように流れ出た。
皆さんも、目の前に化け物がいたら、恐れおののくのは普通であるだろう。それと同じなのだ。
「友達とかー。マジないしぃ。ありえなぁーい。乙女の気持ち踏みにじるとか、マジでありえなぁーい。」
俺は、乙女の気持ちについて、問いただしかなったが、心の中で何とか静止した。
あぶねー。死ぬところだったわ。
「ごめんね。俺、乙女の気持ちってのが、分からないんだ。あはは。」
不敵な笑顔をこぼしながら、何とかごまかす。
「はぁー。まじ、シャーナシ。今回だけは、友達で、許しといてやるし。それじゃあ、私、用事あるから、また明日ね。ダーリン。」
身の毛もよだつ、最後のセリフに、俺は、ただただ呆然と彼女の、………いや、化け物の背中を見送った。
てか、ダーリンって呼ぶなよ。
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これが俺の恋愛、いや、余命宣告だとか殺害予告と言われた方が適切な言い方のようにも思える話の一部だ。
告白された回数は合計8回だから、このシチュエーションがあと7回も続いたと言うことだ。
正直、生きることが辛い。
どうせ、告白されるなら、かわい子ちゃんが良い!
浩二は、そんな事を、考えなが、学校に向けて歩を進めた。
"プゥーーーーーー!?"
浩二は、思考しながら、歩いていた。
そのせいか、周りが見えていなかったらしい。
浩二の右隣から衝突してきた、大型のトラックに気づく事が、一瞬おくれた。
(しまった!?このままじゃ。死ぬ!俺は、まだ死にたくねぇ!童貞を、捨てるまではぁーーーーーーー!?)
"ズダオォォォーーーーン!!!!!!"
浩二の視界が、暗転した。
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「おっぱい!!」
事故の後、眠っていた浩二がそのような言葉を上げて、目を覚ました。
一体どんな夢を見ていたのだろうか。
「ここ?どこ?」
浩二は、困惑していた。
と言うのも、浩二が眠っていたのは病院の一室でも無けりゃ、事故があった場所でも無く、事故が起こった場所からかなり離れた、家の近所の公園の遊具の上で寝ていたからだ。
「誰かのいたずらか?と言うより、なんで俺生きてんの?」
浩二は、考えを巡らせるが、何も分からない。
「まぁ、とりま、学校行くか。」
浩二は立ち上がり、その公園を後にした。
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公園を出発して何分かたっだろうか、ようやく繁華街に到着した。
うちの学校である御版亭学園は、この繁華街を抜けた先に建設されており、繁華街を通る事なしで学校にたどり着くことは出来ないのだ。
(………………?)
浩二が繁華街を歩いてある時、彼はある違和感を感じた。
(女しかいない?しかも、全員かわいい。そして、なぜだろう、やたらと視線が集まってくる。)
俺は、周りを見渡す。
うん。全員の視線を独り占めしてる。
しかし、そんな気軽な事を考えていられるのもつかの間だった。
「お、男!図鑑で見たのと同じなじだ!」
浩二の後方から、声がかかる。
(ん?図鑑?何それ。)
「男だわ!かっこいい❤︎」
「なんで、ここに男がいるのかな?迷子かな?」
「ヤリたい。ヤリたい。ヤリたい。ヤリたい。ヤリたい。」
浩二の周りにいた女性達は顔を真っ赤に火照らして、少しずつ少しずつ浩二に歩み買ってくる。
(あれ?ナニコレ。ちょっと、やばいかも。てゆーか最後の人…………何言ってんの?)
浩二は困惑している。少しずつ近寄ってくる見ず知らずの女性達。
童貞の彼にとって、その事実は喜びと言うより恐怖でしか無かった。
だが、浩二の野生の感はしっかりと機能していた。
(これ。逃げた方がよくね?)
女性達はもう間近まで接近している。
浩二はその言葉を思い浮かべると直ぐに全力で走り出した。
「エスケーーーーーーーーーーーーイプ!」
浩二は女性と女性の間を駆け抜ける。
「!?逃げたわよ!!」
「はやっ!てか、かっこいい❤︎」
「その人を捕まえて!」
「もうイキそう❤︎」
女性達は大きな声を上げる。
だが。浩二のスピードに誰もついて行けない。
(はあ、なんかヤバイことになった。
取り敢えず、今は情報が欲しい。どこかで、情報を集めないと。てゆーかやっぱり最後の人!盛んすぎ!)
女性達から逃げながら思考する。
何分か思考しながら走った。
もう少しで繁華街も抜ける。
(よし、出口が見えた。ここじゃ人が多い。静かな場所に移動しないと。)
だが、その思いは次の瞬間に打ち消されてしまった。
!?
「なっ、ナニッ!!」
繁華街の出口に500人以上の黒服の女性が、浩二の行く先を防いでいたからだ。
浩二は思わず足を止める。
後ろからはもう女性は付いてきていない。どうやら振り切れたようだ。
(まずーい。これ。ほんとにまずーい。引き返して、他の道から、繁華街を抜けるか?どうする。オレッ!)
浩二が必死に考えていると黒服の女性の中から、白スーツの女性が出てきた。
身長は160くらいで長い髪をさらさらとゆらしている。そして、かわいらしい女の子だ。なぜ顔が火照っているのかは謎だ。
「そこのあなた!抵抗せずに私たちに捕らえられなさい。そうすれば痛い思いはさせないから!」
「!?なっ、なに!捕まれだと?ふざけるな!俺はお前になど捕まらん!このペチャパイが!そこを退きやがれ!」
そう彼女はペチャパイだ。それもただのペチャパイではない。ペチャパイを極めたペチャパイだ。
「なっ!なんですって!もう絶対に許してあげないんだからーーーー!!みんな、あいつを捕まえて!」
火照った、顔のまま、腕をブンブンと振り回しながらそのように言ってくる。
そして、彼女の命令で黒服がじりじりと近づいてくる。
(きたな。どうにかして隙を見つけないと。……………っは!あれは!)
浩二は、突破口と呼ばれるのにふさわしいものを見つけた。
それは、裏路地への道だ。
(試してみるか!おっしゃーーー!)
浩二は、いきなり全力疾走する。
流石の白スーツや黒服もこれにはビックリである。
(あと少し、あと少しで俺は自由だ!こんな所抜け出して、早く学校へ…………………
………………あ?俺、今フラグ立てた?)
パーーーーン!!
銃声が、聞こえた。
裏路地まで1歩のところで、浩二は何者かに撃たれた。
「あっ、また死んだかも。」
浩二は、そのように言って地面に伏し意識を少しずつ手放した。
意識が完全に無くなる前だろうか。浩二の目の前に白スーツの女が来て、
「大丈夫よ。心配しないで、私が、あなたを幸せにしてあげるから❤︎」
と吐き捨てた。
浩二の、非日常の幕開けだ。
読んで下さいました、有難うございます。
私、他にも、"カースト最上位がカースト最下位の少年に愛したら"って言う、小説を書いてあります。
そちらの方も、ぜひ読んでみてください。