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七話 これはチート様ですか

『▲異世界の缶詰を一日最大20個購入可能。欲しい缶詰(交換可能なもの)を頭に思い浮かべるか、缶詰カタログに載る缶詰を選択すると代金と引き換えに購入する事ができる。レベルが上がると、一日の最大個数や缶詰カタログの種類が増える』



「うおぉ……!」


 もしやこれはチート様ですか? 俺はあの(・・)チート様をもらったのか!?


「ケンタ様、ユニークスキルについて何かわかったのですか?」


「ああ、聞いてくれナターシャ! 俺は金さえあれば缶詰を購入出来るんだ! 個数制限はあるが、レベルが上がると購入出来る個数も増えるし種類も増えるぞ!」


「わあ! すごいです! では先程の『おでん缶』もまた食べられるのですか?」


「そうだ! これから俺は毎日缶詰を購入して、購入して……!」


「購入して!?」


「…………」


 あれ?


 缶詰ってさ、俺が生きてきた上で良く知っているつもりでいたけど、「食べる」以外のコマンドを出してくれた事がないような気がする。

 いやでもまさか、そんなことはないはずだ……!

 缶詰(ターゲット)を視界に入れて、新たなる可能性を探してみることにする。



 缶詰があらわれた! どうしますか?


 ▶︎食べる

 ▶︎食べる

 ▶︎食べる





「オワタ……」


「えっ、ケンタ様?」


 夢が現実という大きな壁に阻まれてしまった俺は膝をついた。

 缶詰でこの異世界のどこをどう渡り歩けってんだよ。

 精々、酒のつまみやご飯のお供がいいとこじゃないか。

 別に勇者になれるようなチートが欲しかったわけじゃないけどさ(死にたくないし)、これはあんまりじゃないか? 俺をここに連れて来た神様だかなんだか知らないけどよぉ。

 あっ、なんか、ケンタ様がだんだんオワタ様に聞こえて来たぞぉ。アハハハ〜。


「ああっ、元気を出して下さい!」


 ナターシャが一生懸命に慰めてくれる。

 けど、今ある金が尽きたら俺はどう生きていけばいいのか。

 暫くニート生活だとわくわくしていた俺には、遊ぶ気力はあっても働く気力はない。 出来ることならこのまま何もしないで終身名誉ニートとして過ごしたい。

 ……クズだと呼びたいなら呼べばいいさ。


「ケンタ様、大丈夫ですよ! 私がこの缶詰を買いますから!」


「ありがとう。 でもナターシャにはお世話になるだろうから、わざわざ買わなくても缶詰くらいあげるよ」


「えっ!?」


 それも、路上生活に入るまでかもしんないけど。


「それに、缶詰くらいどこにでも売ってるでしょ」


「? 少なくとも、私はこのような容器に入っている美味なる食べ物は見たことも聞いたこともございません」


「……マジ?」


「はい」


 じゃあ、イケる?

 缶詰なんてどこにでも売っているし、そこまで田舎じゃないというナターシャの生まれ育った街でも手軽に手に入る一般的なもんだと思ってた。

 でもそうか。たとえ缶詰が存在していたとしても、日本の料理がこの異世界(?)で食べられるはずもないだろうし、それは俺だけの強みになる。


 もうダメかもしれないと思ったが、ユニークスキルであるこの缶詰を利益が出るようにして売っていけば、慎ましやかにでも生きていけるかもしれない。


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