十話 甘いものは、好きですか?
こっちもまさかの日間入り! ?
「幸せそうだなぁ」
「んへ?」
もひもひ、はむはむ。
渡した缶詰を幸せそうに食っている幼じ……じゃなかった。ナターシャさんだ。
あれからすっかりへそを曲げてしまったナターシャの機嫌を直すのは大変で、俺とアルベルトさんは大変な目に遭った。終いにはアルベルトさんが、
「おっ、なんだいナターシャ! これは随分と上等なホーンラビットじゃないか!? 放置してしまって価値が下がってもいけないから、パパがギルドへ行って換金して来てあげようねー!」
俺とナターシャで運んで来たホーンラビットの素材を奪って逃げやがった。
ギルドの場所がわからない俺とアルベルトさんじゃ、これはまるで勝負にならない。まんまと生贄に置いていかれたようだ。
何かのアピールなのか、遠くの方から「アー! タイヘンダゾー!」とか聴こえてくるけど……大変なのは俺の方だぞ? あとどうでもいいけどアルベルトさん力持ちだな。
「私なんて、一生誰とも結婚出来ずにロリババアと言われて生きて行けばいいんだ……」
くそっ、とうとうナターシャが病み始めてしまった!主に俺の所為だねごめんなさい!!
罪悪感MAXになった俺は、それはもう全力投球で褒めちぎった。
「…………」
だがナターシャはビクともしない。ただの屍のようだ。
そして最終的にナターシャが機嫌を直したきっかけは、
「あっ、ほら! 大人の魅力溢れるナターシャだけに、この缶詰の中から好きなものをプレゼントしようかな!?」
「!?」
テーブルに突っ伏していたナターシャは、俺が苦し紛れで発したまさかの言葉でピクッと身体を揺らした。よっしゃあ、これはキタか!?
「ほ〜らほらほら、何が欲しい? 食べ物ならなんでもあるぞ〜!」
もはや餌付けである。
もう俺はなりふりかまわず、初めてステータス画面を展開して、《缶詰カタログ》を見ていった。
レベル1だから少し不安だったが、缶詰の種類は意外と豊富だった。
大まかに分けて、おかず系・スープ系・白米系・おやつ系があるようだ。
白米系は、もちろんパス。
おでん缶をさっき食べたところだし、スープとおかず系もパス。
となると、女子に受けが良いのはやはりおやつ系だろう。
さてさて、内容は何があるのか……あ、これにしよ。ポチっとな♪
「……?」
おっ、気になるのかチラチラとこっちを見ているぞ!
「な、なんですか? それは?」
パッ、と手のひらに落ちてきた赤い缶を見て、ナターシャは目を瞬かせる。
俺は保存用のキャップをはずし、その下にあるプルトップを指に引っ掛けてそっと開けた。
「ナターシャ、甘いものは好きか?」
「え? そりゃあ、滅多に食べられませんけどもちろん好きですが」
「よし」
いっそのこと口に放り込みたかったけど、子供扱いするとまた怒られそうなので袋だけ破いて中身を取るように促した。
「食ってみ」
「……」
さくり。
「……!」
さくさくさくさく。
俺が献上品にと選んだのは、真っ赤な外装とこどもの顔が中心に描いてあるかの有名なビ⚫︎コだ。
ナターシャはサクサクと勢いよく食べていき、気に入ったようでなりよりだが、袋を破る係りの俺の方が間に合わない。
結局、一缶詰ぺろりと平らげたナターシャだったが、まだ欲しそうにしてたのでもう1缶あげる事にした。
「はあぁ〜。 しあわせの味がしますぅ〜」
そして彼女は2缶目に突入した。
さっきと違ってちみちみ食べてはいるが、さすがに彼女の腹具合が心配になってくる。
「夕飯大丈夫か?」
「甘いものは別腹ですので!」
「…………」
異世界の女子も、言う事は変わらないらしい。
……そ、そろそろ毎日更新が息切れの予感です。_:(´ཀ`」 ∠):
あっちを立てればこっちが立たず。ワタシ窮地。




