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06 ベース・インタラクティブ

 宇宙ステーション。惑星軌道上に浮かぶ人工物。


 直径1キロにも及ぶ円筒は回転し、人工重力を発生させている。弱いが。


 そう、弱いのだ。回転速度はステーションにかかる重力や潮汐力、太陽光の当たり具合によって決定されるらしいが、大体0.5から0.7Gくらいになっているらしい。

 当然、今まで当たり前のように1Gの地球で暮らしていた僕の身体は飛ぶように軽い。ってか結構飛んだな。


 「ヒャッホイ! 身体が軽いね、これぞ異世界! ワンダフル!」

 「なんだかキャラ崩壊してない? 喜ぶ気持ちはわかるけど」

 「まあ、ちょっとね。ロマンあるSFな異世界で、美少女と一緒となったらテンションの上がらない男は居ないと思うよ」


 そう、宇宙ステーションなんて地球では無重力が当たり前、しかも小さい。

 いや、別に地球基準ではそこそこ大きなステーションもあったけど、こんな全長6キロとかいうのはアニメの中でしか見れないものだったね。


 「でもこんな低重力環境だと、身体がなまりそうだね」

 「あー、それならスポーツジムがあるわよ。AIインストラクターシステムに1G環境下での筋力維持を入力すれば、筋力維持ができるわ。

 多少のクレジットがかかるけど、私も使ってるわね。むしろ使わないと降りたときに倒れるから、私からもオススメするわ」


 なるほど、やはりそんなメニューがあるのか。

 なお、クレジットというのはこの世界の通貨である。今のところ現金は一度も見ていない。全部電子マネーになっている。


 「なるほど、覚えておこう。

 まあ、今はそれより船に行って情報収集を優先するよ。30分前くらいに集合すればいい?」

 「集合って言っても、道に迷われても面倒だから私が迎えに行くわ。

 30分前くらいに行くから、いつでも出られるようにしておいて」

 「りょうかいー」


 という訳で、僕は自分の船に入っていく。

 ちなみに今目の前に僕の船があるが、ここまでもレミに案内してもらってきている。ありがたや。


 スマートキーのロック解除ボタンを押すとロックが解除され、船の中央あたりから乗降用タラップが下りてくる。

 システム的には地球にあった車と同じようなものだね。

 近づくだけで自動的に開くようにも設定できるが、僕はボタン式がいいのでその機能はオフにした。


 コックピットに入り、操縦席に座る。

 スマートキーを専用のケースに入れると認証され、システム起動。


 『Power ON、Generator online』


 順番にシステムが立ち上がっていき、ウィンドウが表示される。

 さて、ベース・インタラクティブ社や惑星開発、テラフォーミングについて調べていきましょうかねー。






 「ベース・インタラクティブのプロジェクト担当、レオンです」

 「レア家3女、レミよ。よろしく」

 「レミ様直轄艦隊司令、鈴です」


 ここはステーション内の小会議室。ベース・インタラクティブ社の担当と、いよいよ打ち合わせである。

 ちなみに、レオンさんは美形の若々しい男性である。イケメン滅びろ。


 「この度はわが社との共同開拓にお声がけいただき、有難う御座います。早速ですが、惑星開拓での大まかな流れをご説明いたします」


 そう言われて、僕とレミは顔を見合わせる。

 だって、そのくらいは知ってるというか、調べてあるし。


 ちなみに、この世界の貴族は、レミのようなしっかりものの方が珍しかったりする。大抵の貴族様は権力にあぐらをかき、横暴に振る舞っているのだとか。

 そしてレア家当主、つまりレミの父親もそうなのだとか。よくレミがこんな良い子に育ったものだと思う。


 そのせいか、レオンさんは顔を見合わせた僕とレミを見て「やっべぇ何か気に障ったかな」というような顔をしている。

 若いし、対貴族経験ないな? 顔に出しちゃいかんだろうに。


 「その辺は大丈夫よ。事前情報は受け取ってあるし」

 「さ、左様でございますか。それでは、えーと」


 レオンさんは慌てて手元のタブレットを操作している。そんなに焦らなくても良いのに。


 「事前調査は既に終えてありまして、次は惑星地表への降下探査機と有害物質の確認ですね。

 探査機の運搬と投下については、レミ様直轄艦隊の船で行っていただけるということでよろしいでしょうか?」

 「ええ、そうね。鈴くん」

 「はいはい」


 レミが持っているタブレットをこっちに渡してくる。

 この辺の調整は僕がやれということね、了解。


 「探査機の運搬にはコルベット、フリゲートを中心とした小規模艦隊で行います。探査機放出後も艦隊は惑星近傍に駐留、探査機への通信中継及び周辺環境の測定、そして恒星付近に燃料補給ステーションの建造を行う手はずとなっています」


 光学調査で開拓する星系の恒星は黄色主系列星であると判明している。地球の太陽と同じオレンジ色に輝く恒星であり、周辺に水素を吹き出すため燃料の回収ができるのだ。

 たかが燃料代とは言っても、フリゲートやコルベットはともかく戦艦・巡洋艦ともなればその費用はそこそこ掛かる。

 それにわざわざ輸送する手間もなくなるので、あると便利ではある。


 まあほかの武器弾薬や消耗品は輸送してきてもらう必要があるため、燃料を自前で用意しても手間はそれほど変わらないが。


 「それで降下探査機ですが、受け渡しはどちらで?」

 「アッハイ、今日うちの船に積んで持ってきてあります。後でご覧になりますか?」

 「いや、データを送ってくれれば十分です。それでは後程、このステーションで移動させるという事でいいでしょうか?」

 「はい」


 ふむ、すぐに受け渡しをしてもらえるというのであれば計画を多少前倒しにもできそうだなー。

 艦隊AIにチャットで計画の前倒しを提案……そんなに変わらないな、3日か。まあでも無駄に暇な時間を作るのも時間がもったいないし、前倒しにしておくか。


 「探査状況やコントロールに関しては、艦隊のAIが行います。

 探査が始まればデータは逐一そちらにも転送される手はずとなっていますが、追加で探査してほしい事や要望などはありますか?」

 「そうですね、共同開拓はわが社でも肝入りのプロジェクトとなっています。

 そのため、惑星全体の画像や表面の映像など、プロモーション向けの画像も撮影してもらえるとありがたいです」


 なるほど、会社としても惑星開拓って一大プロジェクトだから宣伝用の画像や映像が欲しいっていう事なのかな?

 それぐらいならすぐにやってくれるだろう、AIが。


 「わかりました、AIに伝えておきます。他にも何かありましたら、僕にメールでも送ってもらえれば出来る範囲でお答えします」

 「ありがとうございます」

 「あとは特にないかな?」

 「そうね、探査に関してはそれくらいよね。後は私が話すわ」


 ふー、僕の役目は一旦終わり。こういうビジネスの話をすることは地球では一切なかったから、めっちゃ緊張したねん。

 ひとまず肩の荷は下りたので、あとは失礼にならない程度に気を抜いてレミとレオンさんの話し合いをレコードしておきますかねー。

この小説がE:Dベースであると見抜かれてしまったようですね。

他にも「俺は星間国家の悪徳領主!」や「Hi-G. -ハイスピードガールズ ディスタンス-」、STARCRAFTシリーズも参考にしたりしています。

それから悪役令嬢とかも最近見ているので、その影響も受けていますね。


ゲームをベースにしつつオリジナリティーを出すって結構難しいですね……

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― 新着の感想 ―
[一言] 新たなE:Dベースのなろうだ。やったー 続き待ってますね
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