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05 再び宇宙へ

 ……あれ、結構寝てる気がするけど、今日はアラームならないな。

 今日は何曜日だっけ? 仕事の日……いや違う、何か違う事を昨日は……あ。


 「異世界転移したんだっけ……ふぁ~あ」

 「あら、ようやくお目覚めね」

 「んぅ……?」


 目を開くと、そこには黒髪ロングストレート。こっちを見る横顔はとても美しい。美少女ゲーム……あーいやちがう、レミか。

 どうやら僕の寝ているベッドに腰かけているらしい。なして?


 「何か用事があれば叩き起こしてくれても良かったのに。覚えているかは保証しかねるけど」

 「別に特別、用事があるという訳ではないわよ。ただちょっと寝顔が見たかっただけ」

 「なにそれ……」


 男の寝顔なんて見てもつまらないと思うんだけどねー。まあでも、これで口実ができたな。今度レミの寝顔も見てやろう、ふふふ。


 ちなみに夜は特にこれと言ったハプニングやエロイベントなどもなく、普通に食って寝た。ちょっと残念な気もするけど、下手に心象を悪化させるよりはましだと思いたい。


 「ってよく見たら結構アレな格好してるじゃん。露出狂?」

 「そんなわけないでしょ」


 そう、今のレミの格好はキャミソール姿。もう一枚何か着てないとエロい目で見られそう……というか実際、僕は見ている。腕とか太ももとか。


 「ちょっとあなたには刺激が強かったのかしら?」

 「まあ、これでも健全な男だからね。妄想がはかどる」

 「意外とオープンなのね……まあキャミって下着の一つだし、仕方がないのかしら?

 まあそれは置いといて、今日これからの話をするわよ」


 真面目な話になるっぽいので、視点をレミの顔に持っていく。もうちょっと太もも見ていたかったかもしれない。


 「今日は私の個人用シャトルでステーションまで一緒に上がって、そこで面会に出席してもらうわ。

 私の初の惑星開拓を共同で行ってもらう、ベース・インタラクティブ社の担当よ」


 あー、そういえば昨日聞いたな。未開発の辺境の星系に入植する、僕はそのサポートをするとか。

 AI艦隊の艦隊司令としてサポートをするという話だったっけ。RTSは好きだったからね、艦隊を僕の指示一つで好きに動かせるというのは楽しみである。


 「面会までの時間は?」

 「今から10時間後、シャトル打ち上げは6時間後に予定しているわよ。ゆっくり準備しても十分間に合うわね」

 「じゃあ、それまでにベース・インタラクティブ社についてしらべておかないとね」

 「仕事熱心ね」

 「流石に相手が何も知りませんあなた誰ですか、状態ではマズいでしょ」


 まあ向こうも企業としてやってくるので下手に怒ったりはしないと思うが、それでも心象はいい方がその後の動きを円滑に進められることは間違いないだろう。

 それにレミの側近がポンコツだと広まったら僕の立場が危うい。


 「それじゃあ、朝ごはんは作ってあるから」

 「ん、ありがとう。すぐに行こうか」

 「うん」


 ちなみに夕食もそうだったけど、ここの食事は自動調理器製だった。いやー便利だね、自動調理器用カートリッジをセットして食べたいものをポチ、だけで作れるなんて。


 起き上がってレミについていく。

 この屋敷はそこまで広くない方だそうだ。とは言っても貴族様基準での話なので、庶民の一軒家と比べてしまうとものすごく広い。

 具体的には、僕の通っていた学校ほどある。まあ学校の広さもいろいろなのでわかりにくいとは思うんだけど、とにかく無駄に広くて部屋が多いと思ってもらえれば構わない。


 「今日はパンを作ろうと思って、小麦粉とレーズンのカートリッジを突っ込んだのよ。そしたら推奨メニューの1番がレーズンパンじゃなくて、レーズンパスタになってたのよね」

 「レーズンとパスタとはこれ如何に」


 自動調理器のおすすめって、定番メニューを出すだけじゃないんだな……開発者は何を思ってこの組み合わせを選んだのだろうか。


 「てっきりレーズンパンが1番に表示されてると思って、そのままスタートしちゃったのよ」

 「現場猫案件じゃないか。確認、大事」

 「ええ、まさか調理器に思い知らされるとは思わなかったわ……ちなみに想像通り、微妙な感じの仕上がりになっちゃったわよ」

 「あー、やっぱ微妙なんだ」


 そりゃまあ聞いた事の無い組み合わせだし、どんな味になっているのか想像がつかない。……一応まずいとまでは言ってないみたいだから、食べれないことはないんだろう、ウン。






 「結構揺れるね」

 「エンジン技術だけが発達しても、慣性制御が微妙だから仕方がないわよ。

 これでも一昔前よりはかなり良くなったらしいわよ?」


 今現在、僕とレミはシャトルの中。宇宙ステーションへと向かって打ち上げられている最中である。

 え、レーズンパスタ? 微妙でしたが何か?


 「まあ地球のロケットに比べれば揺れは少ないと思うよ。この程度の揺れなら、サーキット走った時よりも少し少ないかな?」

 「あなたレースでもしてたの?」

 「ミニサーキットで個人的に楽しんでいただけだよ」


 と、言っている間に窓からの景色はもう宇宙。いやー早いね。


 「ドッキングまであと1分半ね」

 「いや本当に早いね」


 しまったな、大気のある惑星への往還シャトルについても調べておけばよかった、と今更ながらに思う。これがレミと一緒じゃなくて、民間シャトルに乗っていたら確実に浮いていただろう。


 「あ、そうそう。さっきベース・インタラクティブ社から、担当人事の報告が来たわよ。

 そっちに転送……そういえば、スマホとか持ってなかったわね貴方」

 「僕としてはレミがどこからスマホを仕入れたのか気になるんだけど。もしかして特別製?」


 そう、この世界ではスマホはもはや骨董品。大半の人は地球のスマホよりも高性能なスマートグラス(眼鏡型端末)やスマートウォッチを使用している。

 腕時計にスマホ並みのスペックを突っ込むことが出来れば、わざわざスマホを持ち歩く必要性もないという事だね。画面の大きさもホログラムが解決してくれるし。


 「ああ、これはアンティークっていうメーカーが出してるのよ。

 名前通り骨董品レベルのものを作り続けてるメーカーよ。まあ骨董品なのは見た目だけで、中身は最新鋭だからその辺のスマートウォッチよりもはるかに高性能なんだけどね」

 「へぇ、後で調べておこう。僕も欲しいし」

 「欲しいなら買ってあげるわよ」

 「え? うーん」


 それはどうなんだろうか。一応僕も男だし、どちらかと言うとレミに買ってあげる側に回りたい。

 とはいえ、レミが貴族であり僕の雇い主なんだから財力で上回ることは不可能。であれば、素直に買ってもらった方がいいのか? うーん。


 「まあとりあえず、情報の方は僕の船の方に送っておいてもらえれば多分見れる」

 「ああ、あなたのあの船ね。わかったわ」


 いずれにしろ、今は何も持ってないので船で見るしかないよね。

 あの船のホログラムウィンドウって設定変えれば三面同時展開できるから、調べものが結構はかどるんだよねー。

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