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14 ステーション吹っ飛んだ

 「んー、これはひどい」


 現在、開拓中の惑星の極点付近の上空。

 磁気圏を作り出すためのステーションが事故って爆散したという報告を受けたので、修復用のドローンや機械・工具類を積んで現場に急行したわけだけど……


 『状況分析中です、どうやらステーションの内部から爆発している模様です』

 「あ、そういうのわかるんだ」

 『はい。とはいえ残骸が多く詳細なことはまだ不明です。まず残骸を除去しないと、内部にいる作業員の安否確認もままなりませんね』


 まあ確かに、無数の残骸が漂っていてステーション本体の姿がよく見えない。艦隊制御AIはこの船からのカメラ映像だけでよくわかったな?

 ……つまり、残骸を避けて本体にまで行けばいいんだよね?


 「よし、じゃあステーション本体に行ってみよう」

 『はい? まさか、この残骸の中を突っ切るおつもりですか?』

 「それ以外にないでしょ」


 言いながら、前進。電力を最大限スラスターに割り振って、ステーションの残骸を避けながらステーション本体まで近づいていく。


 『ステーションのビーコンはまだ生きているみたいですね』

 「うん、本体の位置がわかりやすくて助かったよ。ドッキングリクエストは受け付けてないか」

 『流石にあの状態では無理でしょう』


 うん、だろうね。


 ステーション本体が見えたけど、これはひどい。中央から真っ二つになっている。

 確か中心にプラズマ核融合炉があって、それを囲むように各種設備があったはずだから、確かにステーションの内部から、それも多分核融合炉が爆発したんだと思う。


 「全チャンネル、オープン回線。電波通信も有効化……こちら宇宙船しらね、生きている人、聞こえたら応答してくれ」

 『な、なに!? 聞こえるか、こちら居住区! 生きてる、まだ生きてる!』

 『こちら宇宙船発着場、要救助者あり!」

 『生きてる、生きてるぞ! 助けが来たぞぉ!!』

 『こちら工業区画、生きてる! 助けてくれ!』


 う、うーん? 同時に受信しても誰が何言ってるのかわからん……。


 『こちらで解析しました。まず、ステーション内部の被害は甚大であり、生存者同士が合流するのは不可能に近いでしょう。

 被害状況からして、まずは工業区画に行くことをおすすめします』


 あ、艦隊制御AIが分析してくれた。ありがたい。


 「よし、工業区画は……目の前じゃん。シールド解除、微速前進」

 『正気ですか? シールド再展開してください』

 「え、でも解除しないと人が入れないし」

 『それは、そうですが……司令官に何かあれば、レミ様が発狂しますよ』

 「大丈夫だって、心配性だなぁ」


 うん、僕だって死にたくはないけど、ここでシールド解除するくらい大丈夫だろう。


 一番危険な核融合炉の爆発はもう起こった後だし、残骸にぶつけるようなヘマはしないし、もしぶつかったとしても物理装甲も軍事グレードなので大丈夫だろう。

 まあコックピットに直撃すればガラスが割れて僕が吸い出されるかもだけど、左右に突き出たアンテナが先にぶつかるから問題はない。


 『……ひとまず、工業区画への接近を確認しました』

 「よし、180度回頭。カーゴハッチ解放、微速後退。予備宇宙服を搬入路に突っ込む」

 『ドローンの制御はお任せください』


 うん、ドローンを常備しておいてよかったな。さて、レミの方はベース社と話はついたかな?






 「ありがとうございました」

 「いえいえ、暇だったしちょうどいい訓練飛行になりましたよ」


 いやー、実際のところ全速力で小惑星帯を駆け抜けたときのほうが緊張感あったよね。ぶっちゃけ訓練飛行と言うには生ぬるかった。


 「謝礼金はこちらになります。振込はまだですが……」


 ピコン、と僕のスマホに送られてきた領収書を見てみると……え、なにこれ。ケタが大きすぎない?

 いや、貴族と企業基準ではこれが普通なのか? 僕の感覚って一般庶民だもんなぁ。とりあえずレミをちらりと見る――あ、ウィンクされた。これでOKってことなのね、了解。


 「わかりました、受け取ります」


 いやぁ、ベース社も大変だねー。今回の事故の原因究明やら賠償やらもあるだろうに。

 ってか、もう片方の磁気圏発生ステーションの方は大丈夫なんだろうね?


 「一応聞いておきたいのですが、もう片方のステーションの方は大丈夫なんですよね?」

 「はい、というのも救助された社員からの話で大体の原因は特定できておりまして」


 あ、原因が特定できているのか。だったら安心だな。


 「なるほど」

 「それではその、申し訳ないのですが私達はこれで」

 「アッハイ」


 そう行って、担当者さんたちはそそくさと出ていってしまった。まるで原因を聞かれたくないかのように。

 ……何かやらかしてたのかな?


 「忙しそうね」

 「そりゃ、ステーション1つ吹っ飛んだんだから忙しくもなると思うよ。原因は何だったんだろうね」

 「人災だったらしいわよ」

 「はい?」


 「もちろんステーションに安全装置が組み込まれて入るけど、それを扱う人間がお粗末じゃあだめよね……お決まりの『想定外でした』って言葉が出てきそう。まあ、予測不可能だからこそ起こるものが事故ではあるけれど」

 社員がやらかした後始末を貴族にさせてしまった! みたいな状況で、ベース社上層部は卒倒しています。

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