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13 穏やかな日常

 「なんというか、想像してた生活と違うね」

 「そう……まあそうね。惑星開発の方はAIとベース社がいい感じにやってくれるし、このへんは辺境で開発が始まったばかりだから宙族とかもいないし」

 「あ、宙族とかやっぱいるんだ」


 宙族、まあ山賊や海賊の宇宙版みたいなやつらだね。

 ゲーム時代でもいて、資源採掘中に襲われて採掘した資源を全部もってかれたのはいい思い出である。


 「じゃあ暇つぶしに、ゲームでもする?」

 「あー、そういえばこっちの世界のゲームって見たことがないなぁ」


 ゲーム、やっぱり未来だとVRやARが普通になってたりするんだろうか。


 「まあ、私はそんなにゲームをするほうじゃないから、あんまり持ってないんだけど。というかお姉ちゃんたちのお下がりしかないけど」

 「なるほど、姉妹で仲いいんだね」

 「そうね、親が私を放置気味で育てていたから、半分お姉ちゃんに育てられたようなものね。教育係も一応いたけど」


 なるほど、確かに3女って言ってたっけ。いやあうらやましいね、僕も優しいお姉ちゃんとか持ってみたい。


 と、いいつつレミが取り出したるは、思ったより普通のゲームだった。

 携帯ゲーム機らしい、画面は7インチくらい? あ、コントローラーは別なのね。


 「思ったより普通のゲーム機が出てきた」

 「まあ技術は進化しているけど、ゲーム機としての持ち運びやすさと性能のバランスが取れるのがだいたいこれくらいのサイズになるんじゃない? とはいっても、中身のスペックはこの世界に準じた性能になっているし、画面は液晶じゃなくて立体ホログラム映写機だけどね」


 あ、ほんとだ。テーブルに置かれた画面のある本体をテーブルからホログラムが投影され、起動した。ゲーム用だからなのか、船のホログラムとは違って半透明ではない。


 「じゃあとりあえずパーティーゲームでもしましょうか」






 『それ型落ち品の古典的なゲーム機ですよ。最新のゲーム機はARですから』

 「AR……拡張現実?」

 「あ、そうなんだ……あら、高級観光船を買ってしまったわ」


 いや、そうなんだって。レミ、知らずにあれ出してたの。


 『はい、後継機はホログラムをタッチして操作ができるようになっていますよ。まあその代わり、少しバッテリーの持ちが悪いですが』

 「さも当然のように携帯ゲーム機ですらホログラムとは、この時代の子どもたちが羨ましいよ……あ、僕の番か」

 『元の世界にもゲーム機はあったと聞いておりますが』

 「僕が小さいころやってた携帯ゲーム機は、画面はモノクロドット液晶だし、放置すると電池が液漏れして壊れるし、カセットの接触不良が起こったりもしてね……」

 「それって初代のゲーム機よね……」

 『ちょっと私には想像がつきませんね』


 まあ、こっちの世界に来てからモノクロドット液晶とか見てないからなぁ……ステーション内の街にあるのぼりですらホログラム表示版だし。こっちの世界ではもはや、ドット液晶や数字しか表示できないタイプの液晶パネルは絶滅危惧種になってるのかもしれない。


 「そろそろ良い時間ね……あ、そうだ」

 「ん?」

 「ごはんにする? お風呂にする? それともわ・た・し?」

 「押し倒していい?」

 「冗談よ、言ってみたかっただけ」


 あ、今回は動揺しなかった。残念、顔を赤くして動揺するところが見たかったのに。


 『ゴールしました』

 「やっぱ人間がAIにはかなわないよねぇ」

 「まあいいじゃない、それも含めて楽しめば」


 まあ、パーティーゲームはこうしてワイワイやるのも楽しいからね。ちな、AIはコントローラーを持てないので、その代わりにコントローラーの電波を出して操作している。

 ……所持金額の桁が2桁違うけど、これはもうあきらめよう。どうあがいても無理だ。

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