1ー2・おいでませディルアース♪
取り敢えずこの世界の名前と国の名前が判明します。
アタシはライデル達に亜人の国に向かう道すがらこの世界について聞いていた。
この世界ディルアースには三つの国があるそうだ。
ライデル達が治める亜人の国
人族の王が治める人間の国【ラディアス】
そして魔族の王が治める魔人族の国【ラ・オード】
亜人の国だけ名前が無いのは亜人の国が6つの種族の王が治める国が集まって作られる集合体だからだそうな。
因みにその6つの国は虎人の国【ティガード】・猫人の国【ライオーム】・犬人の国【ウルフェーム】・鳥人の国【ファルコール】・魚人の国【ウンディアス】・虫人の国【カブトラス】だって。
虫人・・・・・・。
まさかと思うけど虫がそのまま人型になった種族じゃないよね?
「何を思っているかは知らんが他の種族も普段は人と変わらんからな?」
「多分虫人の事でしょうけど、彼等は滅多に戦闘形態を取りません。虫人は通常でも十分強いですから」
アタシの思考を察っしたのかライデルとクラスタが説明してきた。
言われてみれば昔、昆虫が人間と同じ大きさなら世界最強の生き物は昆虫だって聞いた事がある気がする。
あれ?何かの漫画だっけ?
しかしあれだね。虫人の種族に台所の黒い悪魔が居ない事を切に願うね。いやマヂで。
アタシ、女の子にしてみれば虫は結構平気なんだけど台所の黒い悪魔だけは駄目なのよ。
・・・・・・自分で考えててなんだけど気分悪くなってきた。
「ウズラ、大丈夫ですか?顔色が悪いようですけど」
「・・・・・・大丈夫。気にしないで」
「大丈夫に見えん。顔色が青いぞ?・・・・・・ふむ。暫くこうしてろ」
「ちょっ!?」
ライデルは言うや否やアタシをヒョイッと持ち上げると自身の左肩にアタシを座らせる。って視線高い!
「おー。これが長身の人の視線なのね。めっちゃ高いわ」
あ、座り心地も良いし気にいったかも。
・・・・・・あれ?何か歩くスピードが速くなった?
もしかして、アタシに合わせて遅く歩いてた?
「・・・・・・言ってはなんだが、ウズラと我等では歩幅が違うからな」
・・・・・・その一言、アタシのガラスのハートにグサッときたよ?
「ウズラ走ります。ライデル、ウズラを落とさないように」
「分かっている」
クラスタに頷くとライデルはアタシの両足の太ももを左手で掴むとアタシに顔を向ける。
「ウズラ、俺の頭をしっかり掴んでおけ」
「ん、分かった」
ライデルに言われアタシはライデルの頭にガシッと抱き付く様に掴まる。
え?当たってる?
ふっ。当たる程アタシの胸は無い!
幼児ボディをナメるなよ?
・・・・・・自分で言ってて悲しくなってきちゃった。
「皆、走るぞ!遅れるな!」
『おう!』
ライデルの号令に皆が頷くと同時にライデルは走り出す。
風がアタシの頬を撫で髪を靡かせる。
意外に気持ち良いかも。
それに段々眠気が・・・・・・。
そう言えばアタシ、災獣を倒してこっちに転移してから一睡もしてないんだっけ・・・・・・。
そんな事を思いながらアタシの意識は闇に沈むのだった。