ぷろろーぐ!
LAN武の駄文集より異界の迷い子と虎人の王を連載にしました。
アタシ五月雨うずら16歳は何処にでもいる普通の女子校生だ。
まあ少しばかり同じ年代の子に比べたら背丈は低いし幼児体型ではあるが、それでも何処にでもいる女子校生である事には違いない。
そんなアタシの人生が変わったのは父親が仕事の最中に死んでしまってからだ。
アタシが暮らす世界には災獣と呼ばれる化け物がいる。
災獣は夜中にしか現れない。
だが、現れると確実に災害を撒き散らす。
それも人死にが必ず出る災害だ。
例えばビル倒壊、大地震、大火事、津波と言った災害は夜中だと間違い無く避難が遅れほぼ百%の確率で死人が出るだろう。
しかも災獣は出現する日にちが分からない。
1日置きに現れる事もあれば数年単位で現れない時もある。
けど災獣は倒せない訳じゃない。
ほんの一握りではあるが倒せる人間達がいるのだ。
しかもそれは遺伝する。
親から子へ、子から孫へ受け継がれていく武装と能力。
アタシの父さんは死ぬ前に教えてくれた。
自身が災獣を狩る事が出来る人間だと。
そして、自分が死ぬ事でアタシが父さんの持つ能力【身体強化】を受け継ぐ事を。
アタシは父さんの仇を討つ為にそれを受け入れた。
災獣が倒れる時に厄介な呪いを放つ事を知らずに。
アタシが呪いの事を知ったのは初めて災獣を狩った後の事だった。
「・・・・・・ここ何処?」
災獣を狩った後、眩い光に包まれたアタシが目を開くとそこは見知らぬジャングルの中でした。
「・・・・・・オッケー落ち着けアタシ。これはきっと夢を見てるに違いない。ならばこの木に頭を打ち付けても痛みは無い!」
ごめす。
凄く・・・・・・痛いです。
何か思わずとち狂った行動を取ってしまったがおかげでこれが夢じゃない事が分かった!・・・・・・という事にしておこう。しておいてお願いぷりーず。
自分の取った行動に赤面しつつもアタシは辺りを見渡し近くに二本の短刀【十六夜】【新月】が落ちている事に気付きそれを拾い腰に装着している鞘に納める。
「ん~ここに居ても仕方無いし・・・・・・よし!探索しよう」
思い立ったが吉日!
アタシは辺りを警戒しながら人里求めて動く事にした。
それから暫く後、アタシはかけがえのない大切な仲間達を手に入れ皆と共にこの世界で生きていく決意をするのだが、この時のアタシはそれを知るよしもなかった。