ピンチ?チャンスに変えられるさ。
何だかんだと文句を言いながら灯りがついている寺のような場所を発見した。
本当ならもっと早くに辿り着けたはずなんだ。野犬にさえ襲われなければ。
「まあまあ。いいじゃん、着けたんだしさ!」
『よくない。元はと言えばお前が犬の鳴き真似なんかするからだろ。』
「ごめんって!そうした方が野生の動物は逃げると思ったんだよ!で、ここで間違いないないのか?」
目の前の寺は一見頑丈そうな石垣。守衛のような奴らもいた。こんな所が攻め落とされるのは信じがたいが、恐らく間違いないだろう。
『ああ。問題はどうやって中を探すかだ。忍び込めばバレた時が怖いし、かといってこの警備体制だ。事情を話して入れてくれるとも思えない。』
「どうするんだ?嘘でもつくか?」
嘘か…。つくとしてもどんな?どこでボロが出るかわからないんだが。
ガサッ
『え?』
「あ。」
「…!!誰だ!?」
ジョンが茂みにぶつかり、誤魔化しようのない音が。
そして守衛の者に捕まり…
In 牢屋
「今に至るってわけだな!」
『誰のせいだ、誰の。』
「いやー…参った参った。」
手足はガチガチに縛られている。
くそっ!このままじゃいつ殺されてもおかしくないぞ。
『どうにか逃げ出さないと…。』
すると、先程の守衛がやってきた。もう殺されるのか!?
「誠に申し訳ありませんでした!」
「『………………へ?』」
「伊達政宗殿からの書簡が今しがた届きました。黄金色の髪の使者を派遣したとのこと。あなた様とお見受けいたします!」
『だて…。』
「そ、そうです!この人が使いの者です!」
ええっ!?ジョン!?
驚いているとジョンが
「いや、なんか出られるっぽいじゃん?」
と耳打ちしてきた。
まあ、確かに折角出してもらえそうなのだから乗らない手はない。
だとしたらここは先手必勝。
『そうなんですが…。政宗殿からの書簡を野犬に襲われた際に無くしてしまって……。本当に申し訳ございません。』
「いえいえ!黄金色の髪などそうそうおるものではございません。あなた様が伊達殿の使者であることは明白です。この度の非礼を何卒、お許し願います!」
『いえいえいえ。何も言わなかったこちらにも非があったのです。お気になさらず。』
なーんて、て適当なことを言ってみたり。
まあ、こう言っておけば使者が何の用で来たのかを知らなくても問題は無いだろう。
「レオン、やるな……!」
『そっちこそ…』
ひそひそと話しているが、お侍さんが気付く様子はない。
そして牢屋から出してもらい、豪華な食事が用意された部屋に通された。
「殿がこちらの部屋をあなた方にと。ごゆっくりどうぞ。」
そう言って案内の人はどこかへ行ってしまった。
とにかくは、潜入完了☆だな。