表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Sin Spec Memory F  作者: 直斗
チュートリアル
2/43

2

2


気が付くとパソコンの前。

現実に強制的に戻された。

岩につぶされ死んだ。

死ぬと同時に、現実へと戻される。

好きでそうなっているわけでは無い。

そういう、仕組みなのだ。

データが飛ぶことは無い。

あの世へ飛ばされる事も無い。

再度ソフトを起動し、ログインすればいいだけの事だが。

最後に寄った街、村からのスタートなので、ダンジョンをもう一度攻略しなおさなくてはならない。

初めから。

はぁ、めんどくせぇ。

大きく息を吐きながら、背もたれへともたれかかる。

体感以上の長時間プレイ。

身体は疲れを溜めこんでいる。

重たい体を、ギシギシ音を立てながら受け止めた。

俺の周りで流行っているオンラインゲーム。

その流行り具合は、これまでオフラインにしかした事が無い俺に、手を出させるほどの物だった。

オンラインゲームは、難易度が高いとは聞いていた。

これ程まで難しいとは思っていなかったが。


パソコンと近くに、一世代前の携帯ゲーム機。

それを手に取り、重たい体を引きずるようにベッドへと倒れこむ。

充電器につなぎ起動する。

最後に触ったのは一か月ほど前かな。

やっぱり、俺にはオンラインはやめておいた方が良いのだろうか。

何度挑戦しても勝てない。

正直、心が折れそうだ。

もう折れているかもしれない。

画面に明かりが灯り、ロゴが表示される。

その瞬間、いきなり画面はブラックアウトした。

音は一切無く、画面全体に白の英語が大量に表示される。

驚くことではない。

過去の俺がやった、見慣れた光景。

いくつもの英語にカーソルを合わせ、決定ボタンを押していく。

選択されたそれは、先頭の小さなチェックボックスにチェックが入れられていく。

あらかた選択したところで、一番下の英語にカーソルを合わせる。


Game Start


再びロゴが流れ、オープニングが始まる。

始めたときに一度だけ見たそれを、スタートボタンを連打してスキップする。

しばらくすると、甲冑を来た女騎士が村に立っていた。

村の外に出る。

広大なフィールドを、馬を使って駆けていく。

向かう先は最寄りのダンジョン。

ストーリー上最後に訪れることになるそこは、最後にふさわしい敵が待ち構えている。

そこへ単身乗り込む。

やりこみ要素が少ない分、ここの敵は極めて強い。

だが、俺には勝てない。

剣を振れば山を、地を切り裂く。

程ではないが、間合いに入った瞬間。

一瞬で蒸発していく。

気持ちよく無双していると、突然死角から黒い物が飛び出してきた。

さすがに避けることはできない。

食らってしまったが、全然体力は減っていない。

無視して前方の敵を切り続けた。


中ボスを一撃でねじ伏せ、最深部へと到達する。

ラスボスによる何度も見たセリフ。

ここはスキップすることができない。

特に何かを考えているわけでもなく、ただボーっと見ていた。

ようやく、戦闘に入る。

開始早々、スキルを発動する。

威力は低いがもっとも射程が長い攻撃。

空を三度きり、三度の斬撃を飛ばす。

初撃が当たると同時に、こちらのボタン操作を受け付けなくなる。

苦しそうな表情のラスボス。

そこから第二形態へと進化を遂げる。

画面の中の主人公は、剣を構えなおす。

戦闘が始まると同時に、先ほどと同じく斬撃を飛ばす。

二度目も同じく、一発で勝負がついた。

このスキルは本来、ここまで火力がある物ではない。

出が早く、射程が長めの高速剣技。

ただ火力は低く、コストも多めだ。

それでも、一撃で倒すことが出来たのには理由がある。

始めた時に選択した、いくつもの英語。

それによるものだった。


チート


世間ではそう言われている。

開発者が本来、想定していない遊び。

それの持つ力は強すぎるため、一般的には触れてはいけない領域とされている。

だが逆に、力を求める者はそれに手を伸ばす。

絶対的で圧倒的な力。

ゲームの世界を根っこから変える、禁忌の力。

ステータスMAX、速度8倍、ダメージ最大。

全てこのキャラクターに付与された力。

それを使えばなんだってできる。

いくつかの制限こそあるが、コードを入力し複数組み合わせる。

これにより、ほぼすべての行動が可能となる。

例として、戦争系のゲームなら。

リロードなし、アイテム無限、速度16倍。

これらを起動すれば、最速ラピッドでいつまでも撃ち続けることが出来る。



……そうだ。


流れるエンディングを無視して、電源を落とす。

ベッドの上に投げ捨て、パソコンの前に座る。

こちらのも結局はゲーム。

タイトルの後に空白を入れ、チートと検索欄に打ち込む。

いくつものサイトが見つかった。

どれが良いのか分からない。

とりあえず、一番上のサイトを開いた。

そこには懇切丁寧に、チートの導入方法が書いてあった。

書かれている手順通りに、リンク先のサイトに飛んだ。

そのサイトは全て英語で書かれている。

中学生の俺には全く読めないが、ダウンロードくらいはできる。

しかし求めているファイルが、どれなのか分からない。

とりあえずやってみようと、青で書かれた1.15の数字をクリックする。

すると運よく、ダウンロードが開始された。

解凍し、中のファイルを確認する。

そこには、指示された名前のファイルが存在していた。

サイトに書かれた通りに、ファイルを配置していく。

これが上手く作動すれば、明日にでもオンラインに入れる。

心臓がいつもより強く、激しく動いているのが、手を当てなくとも感じられる。

おそらく、これでいけるはず。

すぐさまサイトを閉じ、起動の準備に取り掛かった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ