さんじゅぅよん
「んで?どこ行きたい??」
んー...実は大して行きたい所ないんだよね。
ふつーに家でまったりでいいんだよ。
「琉希の行きたいとこー」
多分...てか絶対分かってるし。
私に行きたい所が無いこと。
「...まぁ、いいや...」
琉希のバイクの後ろに跨って、
腰に手をまわした。
「ちゃんと捕まってろよ?」
そう言って私を撫でると前を向いて
バイクをふかしはじめた。
多分、私の頭撫でるのは琉希の癖。
それが好きなんだけどね?
なんか落ち着くんだよね、琉希の手。
あ、禁断の恋にはしってないからね?
「りょーかい」
背中に顔を埋めて眼を暫く瞑っていると、
バイクが止まった。
「茱希、顔上げて」
言われた通りに顔をあげるとそこは、
「芽、依...?」
芽依が眠る、真っ白な花で埋め尽くされている
綺麗な丘ーーーー
「そ。最近来てなかっただろ?」
この白い花は芽依みたいで、
この花を見てると切なくなる。
涙がこみあげてきて琉希に抱きついた。
「...ッ....ごめ、なさい...」
守れなくて、ごめんね
苦しんでた事に気付かなくてごめんね
琉希と一緒にいさせてあげられなくて、
ごめんなさい、芽依ーー
「......ぁ」
ふと小さな声が聞こえて顔を上げようと
するも、琉希に阻止された。
「都ちゃ〜ん!!待ってやぁ」
....都?敦?
「あのバイク誰のなんだろー??」
「はぁ...陸、ちゃんと歩いて」
「ッチ....」
海斗?真哉?陸?
じゃぁやっぱり蓮もいるんだね...
「茱希、琉希....」
グッと私を抑える力が強くなって、
いくら喧嘩で私の方が強くても、
こういう力では勝てない。
「「「「え!?」」」」
また会っちゃった。
もう会うつもり無かったんだけど...
「ココにそいつらと来たって事は
話したのか?」
琉希の声が上から聞こえて、
頭を上げようと試みるけど無駄。
「...ううん」
「ふーん...じゃ、俺らは帰るから」
ふわりと体が浮いた。
「...え!?っちょ...下ろして..!!」
お姫様抱っこされてるって気付くのに
多少時間がかかった。
「はいはい、帰るから大人しくして」
何なのよ....恥ずいって....
「え?帰るってもしかしてあのバイク...」
「俺のだけど」
もう諦めてまた胸に顔を埋めた。
「...乗れたの?そういえば茱希も...」
しまった...病院に行く時バイクで....
「ウルサイ。関係ない」
琉希、これじゃぁ初めて会った時と
同じだよ。
「...そっか。関係ない、ね...」
みんなの悲しそうな顔に、
胸がズキリと痛んだけど無表情を貫く。
都が、本当の気持ちを言ってくれるまで。
「....待ってッ」
立ち去ろうとした私達を都が引き止めた。
「なに?」
「ぁの、ごめんなさい....」
違う、そうじゃないの。
私達が聞きたいのは謝罪の言葉じゃない。
「都、知ってるの。でも都から聞きたい」
そう言うと琉希が下ろしてくれて、
都の顔を見るととても驚いた顔をしていた。
「....わかった」