さんじゅさん
「.....っん...」
目が覚めると何故か周りは真っ暗で、
何も見えなくて、暖かかった。
だけどよく知っている香りがして、
琉希に抱きしめられてるって分かった。
「ーーー琉希...」
とても安心する香りに顔を埋めて
目を閉じた。
体を包む腕に少し力が入ったのを感じて。
「茱希...起きた?」
上から息が髪にかかってくすぐったい。
「うん。でも、まだこのままで....」
フッと笑って髪を優しく撫でてくれる
暖かい手が気持ち良くて、また寝ちゃいそう。
「今日は学校サボるか」
...蓮のとこにいってからだいぶ寝てたんだ...
「ん...。お出掛け、したいな...」
琉希とは一緒にいるけど何処かで遊ぶって
事はあんましたことない。
...一応、お嬢様だし?
「こうしてたいんじゃなかった?」
「もう少ししたら準備するもん...」
顔は見えないけど意地悪そうに笑うのが
想像できて拗ねた様に言った。
「いいよ」
わざと、話を反らしてくれてるよね?
琉希は気付いてたんでしょ?
私が気付くずっと前から、
蓮に対する私の気持ちにーーーー
「ありがと。ーー大好き」
無性に言いたくなった。
琉希が大好きだって。信頼してるって。
....離れないでって。
「俺も」
多分、琉希の顔は赤いでしょ?
だってそうそう言わないもんね。
まぁ、言わなくても分かってるけど。
「さぁって!!準備しよッ」
いきなり私が起き上がったから、
琉希がベッドから落ちた。
「ってぇ...」
うん。だろうね。ガンッて音したもん。
あ、ここ琉希の部屋じゃん。
「じゃ、着替えてくるから琉希もね!!」