にじゅ→なな
ーー「え......?」
朝、いつも通り登校。
いつも通り幸人のHR。
ただ、違ったのは転校生が、来た。
「滝川 都<タキガワミヤコ>です!!
よろしくね」
それも、最悪のーーーーーーー
「み、やこ.....?」
「あー!!茱希に琉希っ!久しぶりぃ」
その、可愛らしい顔で笑う悪魔ーー
「近付くな....」
明らかにトーンの低い琉希の声。
「.....なんで」
何故、彼女がここにいるのか、
何故、笑っているのか、
元・親友で私を裏切った都がいるの?
「ちょっと、幸人、ごめん....」
フラリと教室を出て行くと視界の隅に
映ったのは蓮達の不思議そうな顔と
琉希も席を立って着いてくる姿......
幸人も事情を知ってるだけに、
何も言わなかった。
「ねぇ琉希、都何考えてるの?」
中庭に行くと授業中だから誰もいない。
「分かんね...」
座ってボーッと空を見た。
ザーッ
「「キャハハハ」」
「「...は?」」
上から水が降ってきて体は水浸し。
......私だけ。
窓からやられたのは確実。
「っ寒...」
夏といえど今日は悪天候で冷たい風が吹いてる。
これじゃぁ風邪ひく....
「チッ都か.....これ着てろ」
言う通り、都の差し金だろう。
琉希のブレザーで体を包んでギュッとにぎった。
「保健室でタオル借りてくるから、
ここで待ってろよ?」
ポンっと頭を撫でて保健室へ行ってしまった。
「あ、茱希〜ってどないしたん!?」
数分そこで丸まっていると
敦らしき声が聞こえた。
顔を上げると蓮達もいる。....都も。
「ちょっと水遊びをね....」
「この寒い日に!?」
だってかっこ悪いじゃん?
水かけられたーなんて。
「茱希っ大丈夫??」
心配そうな声をだしながら
近づいてきたのは都。
相変わらず、演技がお上手な事で....
「触んないでくれる?」
伸びてきた都の手を払った。
「なんでっ?私は心配して.....」
「あんたに心配されたくない」
そう言うと海斗が間に入ってきた。
「茱希酷いよ。都ちゃんは心配してるのに」
そう、都を守るようにして。
「私、都が嫌いなの」
「茱希、言い過ぎだ」
蓮達まで都の味方をした。
陸はどちらにも付かないけれど。
「近寄んな」
琉希が戻ってきたらしい。
てゆーかどうしてこういう時に、
刹那がいないの?
「俺も、都が嫌いだ」
私達の親友.....芽依を殺したんだから.....
「本人に向かって嫌いなんて最低やで」
なにも、知らないくせに。
「あははっやっぱり、同じね」
「......そうだな」
笑う場面じゃないのに笑う私と、
ソノ言葉に乗る琉希。
「何が?」
都の涙に騙されるなんて全国No.1も
落ちたものね。
「さぁ?自分で考えれば?」
蓮達なら信じてみようと思ってたのに。
やっぱり同じ。他と同じ。
「んじゃ、都と仲良くねー♪」
「馬鹿みてぇ.....」
私と琉希は踵を返して中庭を後にした。
ーーーーーーーー
ーーーーー
ーーー
ガラッ
「「.........。」」
次の日教室に入ると目に入ったのは
私の席に座って蓮達と仲良く話す都の姿。
「ねぇ、そこ邪魔」
そこまで早足で行き冷たい声をだした。
「え〜だってこの席蓮くん達と
話しやすいんだもん。
茱希、席変わってよ」
「いいよ。てか荷物とりに来ただけ。
学校には来るけどこの教室には来ないし。
勿論、琉希もね」
都のいる空間にいたくない。
教室のかわりに理事長室にいる事にした。
屋上も中庭も蓮達に見つかるから。
「なんで!?茱希??琉希??」
海斗に腕を掴まれた。
「言ったでしょ?私達、都が嫌いなの。
姿を見るのも声を聞くのも嫌。
その都に騙される馬鹿な人間もね」