ヌヴェル13 吾輩の勝利
“吾輩は猫である”の絵本があってね。それを読んだ息子が嵌っちゃって、自分のことを“吾輩”って言うようになってね。まあ、それはそれで可愛くもあり、面白くもありで良かったんだけど。
その内、“吾輩は人間である”って言うようになって。なんか難しいことを言い始めたぞと思ってたら、“吾輩は名探偵である”とか“吾輩はユーチューバーである”とか、なんか将来やってみたい仕事で呼ぶようになってね。
それが息子だけならまだしも、我が家には人真似得意なオウムのオムちゃんがいてね。
これが実に見事に人真似をするんだ。声のトーンまで使い分けるから、もうそっくりでね。
そのオムちゃんが、“吾輩は名探偵である”とか“吾輩はユーチューバーである”とかを、いろんな声音で真似るものだから、やかましいのやかましくないのって大変だったんだ。
そんなある日、なんと我が家に泥棒が入ってね。
家内はいたんだけど、無事で。ほんとよかったよ。
なんか人の声を聞いてね。えっ?と思ったら、バタバタって音がして。リビング覗いたら窓が開いていて、誰かが走って逃げていく姿が見えて。とりあえず警察には来てもらったけど。君も気をつけた方がいいよ。
えっ、泥棒が走って逃げたのは何故かって?
それはね、息子とオムちゃんのファインプレーでね。
最近、息子がTVドラマに嵌っちゃって。その主人公が格好よくてファンになったみたいでね。“吾輩は・・・”ってよく言うようになって。
それを真似るようになったオムちゃんが低音でね、ちょうど泥棒が入ってきたときに、真似たみたいなんだ。
“吾輩は刑事である”ってね。




