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『虎の屏風と真っ白な原文帳』

作者: 成城速記部
掲載日:2026/03/18

 しゅうとから、婿に、家に来るように言づてがあった。

 嫁のほうは、しばらく前、実家に立ち寄ったときに、父親から、屏風を買ったことを自慢され、一方で、虎の描かれた屏風なのだが、何か画面が物足りないという不満を吐露されていて、娘ながらに考えたところ、竹を描けば画面が締まるのではないかというふうに思いついたところであったので、夫にそう言い含めて、送り出した。

 婿が、嫁の実家に着くと、しゅうとから、真っ白な紙の束を見せられ、これは原文帳といって、速記を書く帳面なのだが、わしには速記の素養がないので、真っ白なままで物足りない、どうしたものか、ということであったので、婿は、プレスマンの絵を描けば、画面が締まるのではないかと言ったところ、何とも複雑な顔をされた。



教訓:婿は頑張ったほうである。しゅうとが悪いわけでもない。嫁も悪意があるわけでもない。

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