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04. 骨董屋


「じゃあね~!佳奈(かな)ちゃん!また明日~!」


「うん!また明日ね~!」


 学校からの帰り道、佳奈子は手を()って多恵(たえ)と別れた。


「…多恵ちゃんも頑張(がんば)ってるんだし、私も、もっと頑張らなくちゃ!…でも、この前の方法じゃ、泥田坊を(つか)まえられないし…、一体どうすればいいんだろう…。う~ん…」


 佳奈子は悩みながら、帰り道を歩く。


 すると道の先に、一軒(いっけん)の古い骨董(こっとう)屋が見えてきた。


 そしてその店先には、白と黒の2匹の猫が寝転(ねころ)んでいる。


「あっ、あそこにいるのは…」


 佳奈子は猫たちに気づき、声をあげた。


 すると猫たちの方も、佳奈子に気づいたようだ。


 猫たちは、こちらを見て体を起こし、しっぽを()らす。


「シロちゃん!クロちゃん!」


 佳奈子は笑顔になって、猫たちの元へ()けた。


「元気だった~?!2人(とも)~!会いたかったよ~!」


 佳奈子はそう言って、猫たちをなでる。


 すると猫たちの方も(うれ)しいようで、にゃ~ん!と甘えるような声を出した。


「あ~、こうしてると(いや)されるなぁ~。悩み事も、どこかに行っちゃう気がするよ~」


 佳奈子は猫を()きしめて、そう(ひと)り言を言った。


 しかし…。


「佳奈子ちゃん、何か悩みがあるのかい?」


 なんと佳奈子の(ひと)り言に、返事があったのである。


 佳奈子は驚いて顔をあげる。


 するとそこには、一人の男性が立っていた。


「?!真人(まさひと)さん?!いつからそこに?!」


「あっ、ごめんね。急に声をかけて。ビックリさせちゃったかな?」


「い、いえ。気づかなかった私の方が悪いんですし…。あっ、すいません!こんな格好(かっこう)挨拶(あいさつ)もなく…!」


 佳奈子は猫を下ろして立ち上がり、目の前の人物に頭を下げた。


「お(ひさ)しぶりです!真人(まさひと)さん!ここ数日、骨董屋(こっとうや)()めてましたけど、(おが)み屋のお仕事の方が、(いそが)しかったんですか?」


「うん。そうなんだ。でも、それも片付(かたづ)いたからさ、今日から、またしばらくは、店を開けようと思ってね」


「そうなんですか!」


 今、佳奈子と話している男性の名は、滋丘(しげおか) 真人(まさひと)


 目の前の骨董屋『逸品(いっぴん)堂』の店主であり、同時に、(おが)み屋も兼業(けんぎょう)している退魔師なのである。


 そして、ここにいる2匹の猫は、彼の()い猫なのであった。


 ちなみに彼の歳は30ほどで、その容姿(ようし)は、なかなかに(ととの)っている。


 スラリと高い身長に、(おだ)やかそうな顔。


 着ている洋服も、落ち着いた色合いで、どことなく品が(ただよ)う。


 大人としての貫禄(かんろく)が感じられる人物である。


 そしてそんな真人は、佳奈子の祖母とも(した)しく、佳奈子もこれまで、たびたび退魔師としてのアドバイスをもらっているのだった。


「…それより佳奈子ちゃん、顔色が悪いけど大丈夫?」


「えっ?!」


「…もしかして退魔師の仕事で何か問題があって、絹代(きぬよ)さんに(しか)られたりした?」


「ど、どうしてそれを…」


「だって、さっき悩みがあるみたいな事を言ってたし…。それに佳奈子ちゃんの悩みといったら、いっつも修行の事とか、退魔師関連の事ばかりじゃないか。仕事を始めたのも先月(せんげつ)からだし、何かうまくいかない事があったのかなって…」


「うっ…」


「…俺で良ければ相談に乗るよ?ほら、俺は一応(いちおう)、先輩だし、絹代さんや、佳奈子ちゃんのお父さん…幾太郎(いくたろう)さんには、とてもお世話になってきたからね。佳奈子ちゃんは、いわば、俺の(めい)っ子みたいなものだしさ」


真人(まさひと)さん…。ありがとうございます…。…実は仕事で失敗しちゃって…。どうしたらいいのか悩んでいるんです…。今回も、相談に乗ってもらっていいですか?」


「うん。もちろんいいよ。…あっ、じゃあ、店の中へどうぞ。ちょうど、(もら)い物のシュークリームがあるんだ。俺だけじゃ食べ切れないから、ぜひ食べて行って」


「えっ?!いいんですか?!ありがとうございます!」


 お菓子(かし)に目がない佳奈子は、笑顔で彼の後に続き、骨董屋の中へと入っていったのだった。






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