第1話 君と出会う 5.邂逅
学校の前で聖と別れ、岬はいつも通り家へと真っ直ぐ向かっている。頭の中は、聖が教えてくれたパートナーのことでいっぱいだった。
(私の・・・・パートナー・・・・。)
一体誰なのだろう。聖はおそらく動物だといっていた。動物。一口にそう言っても地球上にはたくさんの動物がいる。人間に近いところで生活している動物もいれば、人を食料の対象にする動物だっている。
(何だか不安になってきた。)
何故だろう。聖君と話していた時はこれほどの不安、恐さを感じることは無かったのに。そんな感情よりの先に、驚きが来ていたからであろうか。
その時、どこからか小さな鳴き声が突然岬の耳に飛び込んできた。なぜか、自分でも分からないままに岬は足を止める。
「ニャーっ。」
猫の鳴き声だ。どこから聞こえるんだろうと振り返る。すると岬の足元に一匹の小さな子猫がちょこんと座っていた。
その猫はじっと岬の方を見ている。
人気の無い路地。いるのは岬とその猫だけ。その場に“あの声”が響く。
『ミ・・サ・キ・・?』
目を丸くしたまま、岬はその声に答える。
「君が・・・・・・。」
岬はやさしくゆっくりとした動作で、その子猫を抱き上げる。その猫の目は右が金色、そして左目は・・・・銀色をしている。
その猫の目を見つめながら、岬は呟くように声を漏らした。
「私の・・・パートナー?」
岬はこの時気付いていなかった。自分の左目も、その子猫と同じ銀色に変化していることに。
岬の質問に、猫は長い鳴き声を上げて答えた。